日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ローソン(John Howard Lawson)
ろーそん
John Howard Lawson
(1894―1977)
アメリカの劇作家。表現主義的手法で出発したが、のちにはプロレタリア文学に傾いた。代表作『行進聖歌』(1925)は寄席(よせ)演芸の伝統を生かした巧妙な政治風刺の作品で、1920年代表現主義の典型とされる。『拡声器』(1927)、『成功物語』(1932)では、アメリカ文明の物質主義、民主政治の腐敗を告発している。劇作術の巧みさ、知的構成を特色とするが、イデオロギー偏向を指摘する批評家もいる。演劇論、映画論にも優れた業績がある。
[有賀文康]
『岩崎昶・小田島雄志訳『劇作とシナリオ創作――その理論と方法』(1958・岩波書店)』▽『岩崎昶訳『映画芸術論』(1967・岩波書店)』