1997年に登録されたパキスタンの世界遺産(文化遺産)で、同国北部パンジャーブ州にあり、首都イスラマバードの南東約100kmの世界最大級の岩塩鉱山を擁するソルトレンジ(塩の山脈)上に位置している。カハーン川沿いに立つロータス城塞は、ムガル帝国のフマユーン帝を一時的に北インドから駆逐したスール朝の創始者であり、建築家としても優れたシェール・シャーによって1541年に築かれた。全長4kmに及ぶ城壁にはソヘール門を含め12の門があり、城塞内には複数の井戸も残る。城塞はわずか14年でフマユーン帝の反撃にあって短い使命を終え、一時は廃墟となったが、いつしか人が住みつき、現在、ロータス村となって学校や生活道路なども備わり、約3000人が暮らしている。この城塞は、中央アジア遊牧民の北からの侵入を防備する初期イスラム教の軍事建造物として、その歴史的な価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はRohtas Fort