中世に男女の着た長いゆったりした外衣とか,化粧着,バスローブとかさまざまの語義があるが,現代では一般的に婦人服,ドレスの意味として用いる。また法服なども意味する。英語のガウンに当たり,戦利品,略奪品という意味の古フランス語に由来する。もともとは衣類全体を指す言葉から,一揃いの衣服をいうようになり,身分の高い者の正装に使われるようになった。15世紀には一つの衣服に対してのみ使われる言葉となり,16世紀以降は男性のものは儀式服や法服に限って使われ,ローブは主として女性用表着の総称となった。ロココ時代にはローブのいろいろな変形が生まれた。ローブ・ア・ラ・フランセーズrobe à la françaiseは,画家ワトーが好んで描いたので,ワトーひだ(襞)とも呼ばれた。ローブ・ア・ラングレーズrobe à l'anglaiseは簡素なイギリス風,ローブ・ア・ラ・ポロネーズrobe à la polonaiseはポーランド風など,各国のモードをとり入れてフランス化したものが流行した。
日本で明治時代に宮中の礼服として採用されたローブ・デコルテrobe décolletéeは,衿を大きくく(刳)り,背や肩をあらわにしたドレス,ローブ・モンタントrobe montanteは衿が首の長さいっぱいまであり,袖も長いドレスをいい,これらは今日にも残されている。
執筆者:池田 孝江
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(1)礼服、式服、法服、博士服、職服として、法律家、聖職者などが着用する長くゆったりした外着。(2)化粧着dressing gown、バス・ローブbathrobeのこと。(3)衣服一般の意。すなわちドレスdressと同義。とくに凝った婦人服、夜会服のこと。(4)毛皮や布でつくった覆い、毛布のこと。
[菅生ふさ代]
12~13世紀ごろ、ローブの語は衣類全体をさす集合名詞であり、衣服の総体的呼称であった。同時に重ね着による一組みの礼服を意味していた。15世紀になって、室内での正式な表着の一種をさすことばとなったが、婦人のものは丈が床まであるのに対して、男性のローブは腰丈から足首までのさまざまな丈で、いずれも豪華な衣服であった。16世紀以降、ローブは主として婦人用表着の総称となり、男性用ローブは国王、貴族の式服、法服、博士服など特殊服として残った。男性の日常着としてダブレット、ジャーキンなどが現れたためである。17世紀後半からフランス・モードがヨーロッパ各地に伝播(でんぱ)されるようになって、ローブの語もさまざまなバリエーションを生みながら広まった。ローブ・ア・ラ・フランセーズ、ローブ・ア・ラ・ポロネーズ、ローブ・ア・ラングレーズ、ローブ・ア・ラ・シルカシェンヌなどのように。現代ではローブ・シュミジエ、ローブ・タイユール、ローブ・デコルテ、ローブ・ド・マリエなどのように英語のガウン、ドレスとほぼ同義に用いられている。語源はゲルマン語のraub、あるいは平俗ラテン語rauba(略奪品、分捕り品の意)である。
[菅生ふさ代]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…磁気圏あらしの発達過程では,オーロラ・オバルの赤道側への移動に対応して,プラズマシートの境界も地球側に侵入する。 プラズマシートの高緯度側,磁気圏境界面までの間の空間はローブlobeあるいはテールローブtail lobeと呼ばれている。この領域の特徴は,プラズマの密度が非常に小さく,ほぼ0.05個/cm3である。…
※「ローブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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