ワクチンギャップ(読み)わくちんぎゃっぷ

デジタル大辞泉 「ワクチンギャップ」の意味・読み・例文・類語

ワクチン‐ギャップ(vaccine gap)

住んでいる国や地域などによって、ワクチン接種格差があること。また、その格差。
[補説]日本では、他の先進諸国と比べて公的接種の行われるワクチンの種類が少ないとされていたが、平成25年(2013)にHibヒブ肺炎球菌小児)・HPV、平成26年(2014)に肺炎球菌(成人)・水痘、平成28年(2016)にB型肝炎のワクチンが定期接種対象となり、ギャップは解消されつつある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワクチンギャップ」の意味・わかりやすい解説

ワクチンギャップ
わくちんぎゃっぷ

住んでいる国や地域あるいは経済状況などに左右されて、特定の病気に対する予防ワクチンが接種できたりできなかったりすること。欧米諸国ではほとんど無料で受けられる予防接種が、日本では予防接種法の対象から外れ有料の任意接種であることも多く、ワクチン後進国といわれることがある。とくに世界保健機関(WHO)が無料の定期接種を勧めるムンプスウイルス(流行性耳下腺炎)、水痘-帯状疱疹ウイルス(水疱瘡(みずぼうそう))ワクチンが定期接種の対象となっていない。同様にWHOが定期接種を指示するB型肝炎ウイルス、胃腸炎予防のためのロタウイルスなどのワクチンも任意での接種は可能とはなったものの、定期接種の対象からは外れている。また、風疹ワクチンは現在では定期接種とされているが、制度が変わるなかで接種を受けた人の少ない20~40歳代の男性を中心に流行が拡大し、妊婦胎児への感染危惧(きぐ)されている。ヒブ(インフルエンザ菌b型)ワクチンと髄膜炎予防のための小児用肺炎球菌ワクチン女性子宮頸癌(がん)予防に有効なヒトパピローマウイルスワクチンなどは、ようやく2013年(平成25)から定期接種となったが、インフルエンザワクチンは65歳以上の人を除き任意接種のままである。欧米諸国では、乳幼児にも複数のワクチンを同時に接種することも多く、加えて各種混合ワクチンの研究も進んでいる。

[編集部]

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