ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ワルザー」の解説
ワルザー
Walser, Martin
ドイツの小説家。第2次世界大戦に従軍,復員してのち大学に入り,創作を始める。 1955年に「47年グループ賞」受賞。カフカばりの短編集『家の上の飛行機』 Ein Flugzeug über dem Haus (1955) 以来,一貫して社会批判の作品を発表。 87年西ドイツの連邦功労大十字章を受勲。主著,小説『フィリップスブルクの結婚』 Ehen in Philippsburg (57) ,『ハーフタイム』 Halbzeit (60) ,『一角獣』 Das Einhorn (66) ,前2作とともに3部作をなす『転落』 Sturz (73) ,戯曲『樫とアンゴラうさぎ』 Eiche und Angora (62) ,『黒いスワン』 Der schwarze Schwan (64) 。
ワルザー
Walser, Robert
[没]1956.12.25. ヘリザウ
スイスの詩人,小説家。さまざまな職業を経たのち,ベルリンで作家生活に入る。 1933年から終生精神病院で過す。印象主義的な細密描写を通して,幼児的夢想,無能者的敬虔に漂う繊細な感情を,ロマン的アイロニーを交えて表わした文章は,カフカをはじめとして賛美者が多い。小品のほか,『タンナー兄妹』 Geschwister Tanner (1907) ,『ヤーコプ・フォン・グンテン』 Jakob von Gunten (09) などの小説がある。
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