ワルデン反転(読み)ワルデンハンテン

化学辞典 第2版「ワルデン反転」の解説

ワルデン反転
ワルデンハンテン
Walden inversion

不斉中心の(炭素)原子に対する置換反応で起こる立体配置反転.P. Walden(ワルデン)はリンゴ酸からクロロコハク酸をつくるとき,塩化チオニルを用いた場合と五塩化リンを用いた場合で,旋光性が互いに反対のものが得られることを発見した.つまり,同一の光学活性体から出発しながら試薬相違によって光学異性体ができるのであるから,いずれか一方の場合には,置換するとき立体配置の反転が起こっていなければならない.その後,反応機構の研究からSN2型反応において,一般的にワルデン反転を伴うことが明らかになった.求核試薬不斉炭素原子を攻撃する際,脱離基が離れていくと同時に協奏的に背後から攻撃する場合に反転が起こる.不斉中心は炭素原子でなくてもよい.

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百科事典マイペディア「ワルデン反転」の解説

ワルデン反転【ワルデンはんてん】

光学活性体の立体配置が化学反応によって反転(旋光性の反転)する現象。1893年ロシアのワルデンPaul Walden〔1863-1957〕によってリンゴ酸の置換反応について発見された。このような反転は反応試薬が置換を受ける原子の反対側から接近するために起こる。(図1)(図2)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ワルデン反転」の解説

ワルデン反転
ワルデンはんてん
Walden inversion

二分子反応による置換反応で立体配置が反転すること。たとえば L(-) -塩化コハク酸を水酸化カリウムで処理してリンゴ酸を生成すると,その立体配置は D(+) 型に反転する。この反応は 1893年 P.ワルデンにより見出された。

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世界大百科事典 第2版「ワルデン反転」の解説

ワルデンはんてん【ワルデン反転 Walden inversion】

求核置換反応において絶対立体配置の反転が起こる現象。名は発見者P.ワルデンにちなむ。この現象は一分子求核置換反応では特殊な場合を除いて起こらず,二分子求核置換反応(SN2)において通常観測される。すなわち,CXYZLという四つの基X,Y,Z,L(離基)をもつ分子に対してNu(求核試薬)が置換反応を行う場合,図に示すように,NuがLと反対側から攻撃し,Lが脱離しながら同時にC-Nu結合が生成する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「ワルデン反転」の解説

ワルデン反転
わるでんはんてん

反転

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