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光学異性 こうがくいせい

大辞林 第三版の解説

こうがくいせい【光学異性】

立体異性の一。旋光性だけが異なる異性。一般に、乳酸の L 体・ D 体のように、互いに鏡像関係にあって重ね合わせることのできないような分子構造をもち、旋光性以外の物理的性質および化学的性質が同じである鏡像異性体(エナンチオマー)のような異性をいう。鏡像関係にないものは、ジアステレオマーといい、旋光性だけでなく他の物理的性質も異なる。

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百科事典マイペディアの解説

光学異性【こうがくいせい】

立体異性の一つ。一般の化学的・物理的性質は同じで,旋光性だけが異なる異性をいう。右旋性のもの(d‐または+で示す)と左旋性のもの(l‐または−で示す)とがある。
→関連項目異性乳酸

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世界大百科事典 第2版の解説

こうがくいせい【光学異性 optical isomerism】

一つの分子あるいは多原子イオンが,その鏡像体と重ね合わすことができないとき,それらはたがいに光学異性体であるといい,この1対を対掌体antipodeと呼ぶ。またこの間の関係を光学異性という。一般には光学異性体は化学的性質および物理的性質は同じであるが,旋光性のみが異なっている。すなわち一方は直線偏光の偏光面を,光の進行方向に相対して見て右側に回転させれば,もう一方は逆に左側へ回転させる。旋光性を有することを光学活性であるという。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

光学異性
こうがくいせい
optical isomerism

立体異性の一種で、光学活性(旋光性)に差を生ずる異性現象。分子あるいはイオンの構造に第2種の対称要素である転義回転軸(対称心、鏡面、回反軸)がないときに光学活性が現れる。そのような構造の中心を不斉中心とよび、不斉中心にある原子を不斉原子とよぶ。不斉中心があると、右手と左手のように互いに実像と鏡像の関係にある1対の光学異性体を生じ、これらを対掌体antipodeあるいは鏡像体enantiomerまたはエナンチオマーとよぶ。
 四面体構造の中心となる炭素原子を例にとると、その4個の置換基がすべて異なるCabcd型の化合物では、その炭素原子が不斉炭素原子となる。対掌体の一方は右旋性(d体、+)、他方は左旋性(l体、-)を示す。不斉原子をもたない化合物から通常の方法で不斉原子をもつ化合物を合成しても、d体とl体の1対1の混合物であるラセミ体しか得られない。
 不斉中心がn個ある場合には、2n個の光学異性体と2n-1組の対掌体がありうる。互いに対掌体とはならない光学異性体では、旋光性以外の物理・化学的性質もかなり異なることがあり、このような異性体をジアステレオマーとよぶ。また、複数の不斉中心があるときには、分子構造に第2種対称要素が現れて光学活性を失うことがある。そのような場合を擬不斉といい、鏡像と実像とが重なり合う異性体をメソ形異性体という。[岩本振武]

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世界大百科事典内の光学異性の言及

【異性】より

…(2)幾何異性 フマル酸とマレイン酸。(3)光学異性 D‐乳酸とL‐乳酸。このうち(2)(3)は原子の配列順序は同一であるが,その空間的関係が異なるものを問題にしており,これらをまとめて立体異性とよぶ。…

※「光学異性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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