二分子反応 (にぶんしはんのう)
bimolecular reaction
反応の分子数で化学反応を分類するとき,2個の分子が関係する形式の素反応をさす。2個の分子が同種か異種かに応じてA+A─→CまたはA+B─→Dのように表される。たとえば反応2HI⇄H2+I2は正反応も逆反応も二分子反応である。実際に2分子間の衝突によって起こる反応で,衝突数が各成分の濃度の積に比例する場合,速度式がv=k[A]2またはv=k[A][B]で表される二次反応となる。ここでkは比例定数で,速度定数と呼ばれる。有機化学においては律速段階が二次反応であるような反応を二分子反応ということが多い。たとえば
C2H5Br+NaOCH3─→C2H5OCH3+NaBr
は,速度式がv=k[C2H5Br][NaOCH3]で表される代表的な二分子求核置換反応(SN2反応)である。このほか脱離,付加反応などにも同じ意味で二分子反応機構で進むものがある。
→一分子反応
執筆者:竹内 敬人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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二分子反応
ニブンシハンノウ
bimolecular reaction
2分子の関与する素反応をさす.広義には律速素反応に2分子が関係する化学反応をいう.この場合には,律速過程以前にいくつかの素反応が存在することが多いので,反応は必ずしも二次反応になるとは限らない.また,反応機構とはまったく無関係に,2分子が化学量論的に反応に関与する場合をすべて二分子反応ということもあり,あいまいな使われ方をしているので注意を要する.二分子反応は反応形式としてはもっとも一般的であり,反応例も多い.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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二分子反応
にぶんしはんのう
bimolecular reaction
化学反応の速度を理論的に取り扱うときに、反応が二つの分子の相互作用によっておこると考える場合、これを二分子反応という。反応が二つの分子の相互作用によっておこることは考えやすいから、反応速度の理論的取扱いの基本になっている。とくに気相での反応の場合、反応が関与する二つの分子間の衝突によっておこり、その回数はそれぞれの濃度と各分子の大きさ(衝突直径)、質量などによって決まるとしてよく説明できる場合が多い。これを反応の衝突理論という。
[戸田源治郎]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の二分子反応の言及
【求核反応】より
…その割合は,基質の構造,求核試薬の種類,その他の反応条件によって支配される。どちらの反応も,反応速度が基質の濃度だけによって決まる[一分子反応]と,基質と試薬双方の濃度によって決まる[二分子反応]がある。求核置換ではSN1,SN2,求核脱離ではE1,E2とそれぞれ区別する。…
※「二分子反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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