旺文社世界史事典 三訂版 「ヴァイマル憲法」の解説
ヴァイマル憲法
ヴァイマルけんぽう
Weimarer Verfassung
法学者H.プロイスの草案の下に,ヴァイマルで開かれたドイツ国民議会において制定された。当時,世界で最も民主的な憲法といわれ,主権在民,成年男女の普通選挙,比例代表制,直接秘密投票による大統領の選出,連邦制,各州政府代表により構成される参議院,国民の基本的権利,労働権の保障などを規定した。また国民投票により,国民が直接に立法・行政に関与できる道を開いた。大統領の権限が強く,首相の任免権や非常時における独裁権が与えられ(48条),ヒンデンブルクは1930年代初頭にこれを濫用した。共和国政府は大統領と議会の双方に信託される必要があったが,このことは小党分立の当時の政情にあってはかえって政府の足枷 (あしかせ) となり,大統領の独裁とあいまって,共和国崩壊の重要な原因の1つとなった。
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