ヴァイマル憲法(読み)ヴァイマルけんぽう(その他表記)Weimarer Verfassung

旺文社世界史事典 三訂版 「ヴァイマル憲法」の解説

ヴァイマル憲法
ヴァイマルけんぽう
Weimarer Verfassung

1919年8月に発効した ヴァイマル共和国憲法
法学者H.プロイスの草案の下に,ヴァイマルで開かれたドイツ国民議会において制定された。当時,世界で最も民主的な憲法といわれ,主権在民,成年男女の普通選挙,比例代表制,直接秘密投票による大統領選出連邦制,各州政府代表により構成される参議院,国民の基本的権利,労働権の保障などを規定した。また国民投票により,国民が直接に立法・行政に関与できる道を開いた。大統領の権限が強く,首相の任免権や非常時における独裁権が与えられ(48条),ヒンデンブルクは1930年代初頭にこれを濫用した。共和国政府は大統領と議会双方に信託される必要があったが,このことは小党分立の当時の政情にあってはかえって政府の足枷 (あしかせ) となり,大統領の独裁とあいまって,共和国崩壊の重要な原因の1つとなった。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヴァイマル憲法」の解説

ヴァイマル憲法(ヴァイマルけんぽう)
Weimarer Verfassung

「1919年8月11日ドイツ国憲法」の通称プロイスの草案をヴァイマルに召集された国民議会が,修正可決したもの。人民主権を確認し,国民の権利義務を詳細に規定。普通,平等,直接,秘密かつ比例代表制の選挙による国会を置いて議院内閣制をとり,直接選挙による大統領に強い権限を与えている。18のラント()からなる連邦制は残したが,単一国家色彩を強め,他にさきがけて,経済秩序の社会化の方向を示した。大統領に緊急命令権を与えた第48条は,30年代初頭に乱用され,この著しく民主的な憲法が,ヒトラーのもとで死文化する道を開くという逆効果をもたらした。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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