議院において一度議決した案件については、同じ会期中に重ねて審議することをしないという原則をさす。訴訟法上の「一事不再理」と区別してこうよばれる。すでに決定した問題について、重ねて審議することは、議決を不安定にするばかりでなく、会議の能率を低下させて議事の運営上好ましくない。会期制と結び付いている原則であるが、会期が異なる場合はこの原則の適用はない。明治憲法は「両議院ノ一ニ於(おい)テ否決シタル法律案ハ同会期中ニ於テ再ヒ提出スルコトヲ得ス」(39条)としてこの原則を認めていた。現行憲法では明文はないが、これは法律案の議決について、衆議院で可決し参議院でこれと異なった議決をした法律等は衆議院で再議決することができる(憲法59条2項)という規定との矛盾を避けるためと考えられる。しかし、この原則は合議体の議事運営上の条理ともいうべきもので、国会両院および地方議会において運用されている。例外として、事情が変わったため、目的・手段が異なったり、あるいは新たな理由が生じた場合は、同じ問題でも問題が変わったとして再議に付すことがある。
[池田政章]
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… 継続審議会期中に議決に至らない案件は後の会期に継続しないが,閉会中,委員会での審査が認められた議案と懲罰事犯は継続審議が認められる(国会法68条但書)。 一事不再議議会の意思がひとたび決定された以上,同一会期において再度同一問題について審議決定をなしえないとする原則。 議院警察議院の内部警察権は議長が行使する。…
※「一事不再議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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