一刀彫(読み)イットウボリ

デジタル大辞泉 「一刀彫」の意味・読み・例文・類語

いっとう‐ぼり〔イツタウ‐〕【一刀彫(り)】

1本小刀で彫って、その荒いタッチを生かした木彫技法。また、その作品奈良一刀彫り飛騨の一位彫りなどが有名。

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精選版 日本国語大辞典 「一刀彫」の意味・読み・例文・類語

いっとう‐ぼりイッタウ‥【一刀彫】

  1. 〘 名詞 〙 木彫り様式の一つ。荒彫りな面をもって仕上げたもの。一刀で刻みあげたように見えるのでいう。鎌倉時代に始まり、奈良の一刀彫り人形、飛騨の一位彫りが有名。
    1. [初出の実例]「ちょっと奈良の一刀彫(いったうボリ)のやうです」(出典生々流転(1939)〈岡本かの子〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「一刀彫」の意味・わかりやすい解説

一刀彫 (いっとうぼり)

小刀の粗い刀痕を残し,その単純明快な面を生かして完成させる木彫技法,およびその作品をいう。普通はこの技法の特徴をよく示す奈良人形を一刀彫と呼び,飛驒の一位彫(いちいぼり)も〈飛驒の一刀彫〉と呼ぶ。奈良人形は江戸時代初期,岡野平右衛門(松寿)が春日大社祭礼に用いる人形の彫物をもとに始めたといわれる。題材を多く能,狂言にとり,彩色を施して仕上げた小人形で,荒削りの力強い表現に特色がある。江戸末期に森川杜園(1820-94)が出て,好んで動物を彫り,名人といわれ,奈良特産の木彫工芸としてさらに広く知られるようになった。飛驒の一刀彫は,江戸末期に松田亮長(1799-1871)によって大成されたとされ,イチイ材を用いた素木像で,亀,達磨十二支などを根付,置物などに作った。
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百科事典マイペディア 「一刀彫」の意味・わかりやすい解説

一刀彫【いっとうぼり】

日本の木彫の一技法。荒彫で,細部にこだわらず形をまとめるため,一刀で刻んだかのように見える。近世以来奈良に伝わっており,奈良彫ともいわれ,もっぱら人形,玩具(がんぐ)の製作に用いられている。
→関連項目奈良人形

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一刀彫」の意味・わかりやすい解説

一刀彫
いっとうぼり

木彫の一技法。奈良彫ともいう。奈良の仏師たちが余技に玩具を彫ったのが始りという。一刀で彫ったような簡明な刀さばきが特色。明治の森川杜園は奈良一刀彫の名手。

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