オチのついた短い笑話。小話(こばなし)(小咄(こばなし)、小噺(こばなし))、軽口ともいう。笑わせることを目的に構成された笑話にも、中心をなす笑いの展開部分の前後に、発端部分と結末部分をつけて、整った物語形式を備えているものが多いが、一口話では、笑いをおこさせる部分に焦点を絞って語るところに特色がある。物語として形式がまとまっているというよりは、むしろ笑いの構造として形が定まっている。落語のマクラやサゲに使う断片的な小話も、一口話の一例である。小話の『五里五里』では、当意即妙な洒落(しゃれ)が話の核になっている。栗(くり)(九里)に近いという意味で屋台に「八里半」と書いてある焼芋(やきいも)屋で芋を買った男が「八里半どころか十里だ」、焼芋屋「九里よりうまいか」、男「いや、十里生(なま)焼けゴリゴリ(五里五里)だ」。江戸時代に栄えた咄家の世界では、元禄(げんろく)期(1688~1704)ごろ、一口話の類を「軽口」とか「軽口話」とかよんだ。軽口とは本来、軽妙な語り口で、おかしみのある話をすることで、現在、洒落をいったり、冗談をいったりすることを軽口をたたくというのは、一口話の本質をよく表している。一口話は物語として語られるときには、その情況説明が付属して形式も整ってくるが、もともとは実生活のなかで使われる話術の一種で、説話というよりは談話である。神奈川県平塚市の須賀(すか)(相模(さがみ)国大住郡須賀村)の人は軽口が巧みであるといわれ、この村から出る魚の行商人は、軽口をたたきながら商売をするのが習わしであった。軽口をこの地方では「頓狂(とんきょう)」とよんでいる。人が井戸に落ちたと聞いて「吸い出し膏薬(こうやく)でも張っておけ」といったというたぐいの軽口で、須賀では最近まで一口話が日常生活のなかで生きていた。
[小島瓔]
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