一宮(山梨県)(読み)いちのみや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「一宮(山梨県)」の意味・わかりやすい解説

一宮(山梨県)
いちのみや

山梨県中央部、東八代郡(ひがしやつしろぐん)にあった旧町名(一宮町(ちょう))。現在は笛吹(ふえふき)市の北東部を占める一地区。1954年(昭和29)一宮浅間、相興(あいおき)の3村が合併して町制施行。2004年(平成16)春日居(かすがい)町、石和(いさわ)町、御坂(みさか)町、八代(やつしろ)町、境川(さかいがわ)村と合併、市制を施行して笛吹市となる。旧町域は、甲府盆地の南東部に位置し、笛吹川支流、金(かね)川、日(ひ)川などのつくった複合扇状地上に広がる。国道20号、137号、411号が通じ、中央自動車道の一宮御坂インターチェンジがある。第二次世界大戦前は養蚕経営を主体としていたが、戦後になって戦前わずかであったモモの栽培が盛んとなり、急速に発展した。1960年には東京市場でのモモの占有率が70%となり、全国一のモモの産地となった。その後、ブドウの栽培も盛んとなり、とくに東方の甲州(こうしゅう)市勝沼(かつぬま)町地区に隣接する相興地区ではブドウが卓越している。史跡も多く、甲斐国分寺跡(かいこくぶんじあと)、甲斐国分尼寺跡(ともに国指定史跡)をはじめ、甲斐国一宮の浅間神社(あさまじんじゃ)があり、4月の川除(かわよけ)祭(御幸祭(おみゆきまつり))は有名。また、縄文前期から中期遺跡にも富んでいる。千米寺(せんべいじ)地区の釈迦堂遺跡群(しゃかどういせきぐん)(一部は甲州市にかかる)は有名で、出土品を展示する釈迦堂遺跡博物館もある。国の重要文化財として、浅間神社摂社山宮神社本殿(やまみやじんじゃほんでん)、慈眼寺本堂(じげんじほんどう)、紺紙金泥般若心経(こんしきんでいはんにゃしんぎょう)(浅間神社蔵)、釈迦堂遺跡群から出土した1116個体の土偶(どぐう)(縄文時代、国指定重要文化財)がある。

横田忠夫

『『一宮町誌』(1967・一宮町)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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