一富士二鷹三茄子(読み)イチフジニタカサンナスビ

  • いちふじ
  • 一(いち)富士(ふじ)二(に)鷹(たか)三(さん)茄子(なすび)
  • 一富士
  • 二鷹(にたか)三茄子(さんなすび)

大辞林 第三版の解説

初夢に見ると縁起の良い物を列挙した文句。駿河国(今の静岡県)の名物を列挙したものとする説もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

(ことわざ)。夢にみるもののなかで縁起のよいものの順位。とくに正月2日の初夢の縁起に用いられる。語源については、この諺が一般に流布した江戸時代中期にすでに諸説ある。(1)駿河(するが)国(静岡県中央部)の諺で、駿河の名物を順にあげたとする説がもっとも有力である。江戸時代の国語辞書『俚言集覧(りげんしゅうらん)』によれば、駿河の名物を「一富士二鷹三茄子四扇五煙草(たばこ)六座頭」とする。(2)徳川家康があげた駿河の国の高いものの順位、すなわち一に富士、二に愛鷹(あしたか)山(足高山)、三に初茄子の値段といったことに由来するとする説。(3)富士は高く大きく、鷹はつかみ取る、茄子は「成す」に通じて縁起のよい物とする説、などがある。[棚橋正博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

夢に見ると縁起が良いとされているものを順にならべた文句。初夢についていわれることが多い。
※狂歌・巴人集(1784)「初夢 まさに見し一富士二鷹三茄子夢ちがへして貘にくはすな」

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ことわざを知る辞典の解説

夢に見ると縁起がよいものを順に三つならべたもの。特に初夢についていう。

[使用例] なぜ二日の夢が初夢なのかわからない〈略〉夢となると元日の夜、あしたが初夢だから見ずに置こうというわけにはいかない。その夢も一富士、二鷹、三茄子、この順でこれを吉夢といい伝える。富士も鷹も吉とするのは解るが、茄子はどういうところから来ているのか知らない[鏑木清方*宝船|1942]

[使用例] 一富士 二鷹 三茄子〈略〉初夢で富士山を見るのが一番よくて、二番目が鷹の夢で、三番目が茄子の夢だってことは、よくいっている。〈略〉四葬式 というのがあるという。葬式というのは縁起の悪いもののように思うので、並べるのはどうかと思うが、しかしまた夢というのは逆夢だともいうから「葬式」もいいのかもしれない[池田弥三郎*暮らしの中のことわざ|1977]

[解] よく知られた表現で、語源については次のような諸説があります。(一)駿するの名物を順に挙げたもの、(二)駿河の国で高いものを順に挙げたもので、一に富士、二に足高山、三に初茄子の値段のこと、(三)富士は高大、鷹はつかみ取る、茄子は成すの意で、縁起のよい物を順に挙げた、など、駿河にかかわるものが目につきます。しかし、江戸前期の用例をみると、最初から三つではなく、「一富士二鷹」までのものや「三」の内容が確定していない例も認められます。その後、意外性があってユーモラスな「三茄子」が加わって表現が確立され、今日まで伝承されることになったものと思われます。
 「一…二…三…」の形式は、他にも「一金二押し三男」などがあり、レトリックとして「三」に意外性やひねりを加えることで、印象に残ることわざとなったものが多いようです。

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