愛鷹山(読み)アシタカヤマ

デジタル大辞泉 「愛鷹山」の意味・読み・例文・類語

あしたか‐やま【愛鷹山】

静岡県富士山の南東にある火山。標高1188メートル。また、広くは位牌いはい岳・呼子岳・越前岳(1504メートル)などからなる愛鷹連峰をさす。古くは「足高山」と書いた。

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精選版 日本国語大辞典 「愛鷹山」の意味・読み・例文・類語

あしたか‐やま【愛鷹山・足高山】

  1. 静岡県東部、富士山の南東にある火山。南東部に長い裾野をもち、愛鷹山、位牌(いはい)岳、越前岳(一五〇四メートル=最高峰)など六峰から成る。

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日本歴史地名大系 「愛鷹山」の解説

愛鷹山
あしたかやま

富士山の東南東に位置する洪積世中期(富士火山直下の小御岳火山とほぼ同時期)複合火山。足高山・足鷹山などとも書き、山域は沼津市・富士市・裾野市・駿東すんとう長泉ながいずみ町にまたがる。最高峰の越前えちぜん(一五〇四・八メートル)から南に呼子よぶこ(一三〇〇・五メートル)位牌いはい(一四五七・五メートル)おお(一二六二メートル)・愛鷹山(一一八七・五メートル)と続き、北東にくろ(一一八七・五メートル)がそびえる。愛鷹山はこれら主峰の総称であるが、狭義には東海道筋から最も目につく標高一一八七・五メートルの山をいう。山頂部は浸食が激しく絶壁をなし、数多くの谷が深く刻まれている。これらを一括して百沢と称し、なかでも須津すど川の源流となる南西方に破れた火口部の谷やもも沢が最も大規模である。東および南の山麓付近から七合目までと、南麓を東西に走る根方ねがた街道から北へ約二キロほどは、ゆるやかな傾斜をつくり、厚さ約一五メートルのロームが堆積している(ただし中里付近まで)。中腹には松・杉・檜が植林され、さらにそれより上部は温帯落葉樹林で、クリ、ブナ、ナラ、カエデを代表種とする落葉闊葉樹の自然林である。南麓のローム台地上では旧石器時代・縄文時代の遺跡が数多く発見されている。六世紀になると山麓の各地に前方後円墳・円墳や群集墳などが築造された。古代駿河岡野おかの馬牧・蘇弥奈そみな馬牧はいずれも現在の沼津市から富士市の当山麓地域に置かれたと推定されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「愛鷹山」の意味・わかりやすい解説

愛鷹山 (あしたかやま)

静岡県東部,富士山の南東にあって,富士,沼津,裾野市などにまたがる山。最高点は越前岳の1504m。主要な峰には北から南へ越前岳,呼子岳(1310m),鋸(のこぎり)岳(1296m),位牌(いはい)岳(1458m),大岳(1262m),愛鷹山(1188m)などがあり,これらを総称して〈愛鷹山〉と呼ぶが,狭義には東海道から一番目だつ最南の一峰を指す。富士火山体直下の小御岳(こみたけ)火山とほぼ同時期の洪積世中期に噴出した古い火山であるため,山頂部は浸食が進んで鋸歯状の稜線をみせ,深い火口は南西方向に破れて,この火山最大の浸食谷,須津(すど)川の源流となっている。火山体の大部分は初期に噴出した玄武岩質の噴出物で構成され,その後に噴出した玄武岩,安山岩質溶岩の分布はかなり限られている。南東麓の沼津市愛鷹,原にかけては山麓斜面が比較的よく保存されていて,茶園や畑が標高200~300m付近まで広がっている。山麓斜面では水が乏しかったため,集落は浮島低地にのぞむ山麓末端に連なり,そこを東西に根方(ねがた)街道が通じている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「愛鷹山」の意味・わかりやすい解説

愛鷹山
あしたかやま

静岡県、富士山の南東に位置する火山。最高点は越前岳(えちぜんだけ)で標高1504メートル。山上は、越前岳から呼子(よびこ)岳(1310メートル)、位牌(いはい)岳(1458メートル)、狭義の愛鷹山(1188メートル)へと続き、遠望すると、鋸歯(きょし)状に侵食された山稜(さんりょう)に特色がある。箱根火山とほぼ同時期の活動で形成された成層火山で、位牌岳西側の須津(すど)川源流部が旧火口部といわれる。越前岳北斜面は富士山と接し、十里木高原(じゅうりぎこうげん)となる。南東麓(ろく)には緩斜面が広がり、ゴルフ場への改変が進んだ。山名はかつて足高之峰とも書かれ、古代には官牧が設けられ、馬の放牧がなされていた。裾野(すその)の斜面は茶園、樹園地、畑地も広く、浮島ヶ原(うきしまがはら)との境の山麓には、かつての東海道である根方(ねがた)街道が通る。

[北川光雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「愛鷹山」の意味・わかりやすい解説

愛鷹山
あしたかやま

静岡県東部,富士山南東にある火山。標高 1188m。裾野・沼津・富士3市と長泉町にまたがる。付近には広義の愛鷹山の最高峰で標高 1507mの越前岳,呼子岳,位牌岳,大岳などが連なる。初めは玄武岩の大きな成層火山であった。のち断層により山頂南西部が下がり,次いで火口西に噴出した大岳からの溶岩流が南東に流れ,北東部に寄生火山の黒岳ができたといわれる。東部の裾野市付近は浸食が進んで深い谷,南部の沼津市愛鷹や原地区では浅い谷となっている。北部や西部の裾野は富士山の溶岩流におおわれている。南斜面は標高 400m付近まで開拓が進み,茶畑が多い。一部は富士箱根伊豆国立公園に属する。

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百科事典マイペディア 「愛鷹山」の意味・わかりやすい解説

愛鷹山【あしたかやま】

静岡県東部,富士山の南東にある山。標高1188m。北西は富士山の噴出物によって埋められ,南東は長い裾野(すその)をもつ。更新世初期に形成された古い火山で,集塊岩,複輝石安山岩などからなり,山体は放射谷が発達。北方に位牌(いはい)岳,呼子岳,越前岳がある。南斜面は茶畑などに利用されている。《吾妻鏡》に波志太山,鉢田山,江戸時代には足高山,芦高山などとみえる。

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