日本大百科全書(ニッポニカ) 「七賢人(ギリシア)」の意味・わかりやすい解説
七賢人(ギリシア)
しちけんじん
古代ギリシア、アーケイック(アルカイック)期の7人の賢者。太陽神ヘリオスの7人の息子になぞらえてまとめられたと思われる。もっとも古く7人の名をあげたプラトンの『プロタゴラス』によれば、ミレトスのタレス、ミティレネのピッタコス、プリエネのビアス、アテネのソロン、リンドスのクレオブーロス、ケーンのミソン、スパルタのキロンからなる。賢人とその組合せには諸説があり、そのほか10人の名が知られている。紀元前4~前3世紀のファレロンのデメトリオス以降は、『プロタゴラス』のミソンをコリントのペリアンドロスにかえた7人にほぼ固定した。いずれも実践的な知恵や助言を語った知者で、ソロン、キロン、ペリアンドロス、ピッタコスなどは政治家としても重要な活動をした。彼らの知恵は、「汝(なんじ)自らを知れ」「極端を慎め」「苦痛を生む快楽を避けよ」「利得は飽くを知らぬもの」「年長者を敬え」「友人たちに対しては、彼らが幸運なときにも不運なときにも同じ人であれ」「市民たちにはもっとも快いことではなくて、もっともよいことを忠告せよ」といった格言の形で中世まで繰り返し引用され、解釈されたが、彼らに関する伝承には史実と虚構が混在し、すでに前4世紀に区別しがたくなっていた。
[清永昭次]