デジタル大辞泉
「七難」の意味・読み・例文・類語
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しち‐なん【七難】
〘名〙
① 仏語。七種類の災難。経典によって、その内容が異なる。「
仁王経‐受持品」では、日月失度難・星宿失度難・災火難・雨水難・悪風難・亢陽難・悪賊離をいい、「
法華経‐普門品」では、火難・水難・
羅刹難
(らせつなん)・刀杖難
(とうじょうなん)・鬼難・枷鎖難
(かさなん)・怨
賊難(おんぞくなん)をいい、「薬師経」では、人衆疾疫難・他国侵逼難
(たこくしんひつなん)・自界叛逆難
(じかいはんぎゃくなん)・星宿変怪難・日月薄蝕難・非時風雨難・過時不雨難、「陀羅尼集経」では、王難・賊難・水難・火難・羅刹難・荼枳儞鬼難
(だきにきなん)・毒薬難をいう。また、一般に種々の災難・困難をいう。〔
法華義疏(7C前)〕
※三帖和讚(1248‐60頃)
浄土「山家の伝教大師は、国土人民をあはれみて、七難消滅の
誦文には、南无阿彌陀仏をとなうべし」 〔法苑珠林‐六六〕
② 種々の欠点、難点。
※
評判記・難野郎古たたみ(1666頃)序「ぐ人の目よりは人の七なんはみえておのれが十なんはみえかたし」
※
滑稽本・
浮世風呂(1809‐13)三「まだしも色白だから七難
(シチナン)も隠すけれど」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
七難
しちなん
仏教用語。7種の災難。経典により7種の内容は異なるが,いずれの場合も,その経典を受持すれば災難は免れうるとして経典崇拝の形を示す。代表的なものは,『仁王般若経』に説かれる (1) 月日失度の難 (太陽や月の異変) ,(2) 星宿失度の難 (星の異変) ,(3) 災火の難 (大火) ,(4) 雨水変異の難,(5) 悪風の難,(6) 亢陽 (こうよう) の難 (ひでり) ,(7) 悪賊の難や,『法華経』に説かれる (1) 火難,(2) 水難,(3) 羅刹 (らせつ) 難 (悪鬼による災難) ,(4) 刀杖難,(5) 鬼難 (死霊による災難) ,(6) 枷鎖難 (牢獄にとらわれる難) ,(7) 怨賊難などがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報