万乗(読み)バンジョウ

デジタル大辞泉 「万乗」の意味・読み・例文・類語

ばん‐じょう【万乗】

《「乗」は車の意。中国代、天子直轄地から戦時兵車1万台を徴発することができたところから》天子。また、天子の位。
「―の聖主遠島うつされさせ給ふべしと」〈太平記・四〉

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精選版 日本国語大辞典 「万乗」の意味・読み・例文・類語

ばん‐じょう【万乗】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「乗」は車、また車の単位 ) 一万台の車。一万両の兵車。また、その兵士臣下
    1. [初出の実例]「蹶千金以如蠆芥、臨万乗而如脱」(出典三教指帰(797頃)中)
    2. [その他の文献]〔漢書‐刑法志〕
  3. ( 中国、周の時代の制で、戦時に天子は兵車万乗を有したところから ) 天子をいう。
    1. [初出の実例]「万乗威加新海内、数行涙落故郷情」(出典:田氏家集(892頃)上・於右丞相省中直盧読史記竟、詠史得高祖)
    2. [その他の文献]〔孟子注‐梁恵王・上〕

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普及版 字通 「万乗」の読み・字形・画数・意味

【万乗】ばんじよう

一万台の兵車。〔孟子、梁恵王上〕上下(しやうか)(こもごも)利を征(と)らば、國し。乘の國、其の君を弑するは、必ず千乘の家なり。千乘の國、其の君を弑するは、必ず百乘の家なり。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「万乗」の意味・わかりやすい解説

万乗
ばんじょう

1万台の兵車のこと。「乗」は車または車の単位をいう。中国、周の制度では、戦時、天子はその直轄領から兵車1万台を出すことになっていたので、転じて天子の称となった。「万乗の君」「万乗の主」はこの例で、「万乗の国」は兵車1万台を出せる大国を意味した。なお、「千乗」は兵車1000台を出せる大諸侯をいい、その国を「千乗の国」とよんだ。また、「百乗の家」は兵車100台を出せる卿(きょう)、大夫の地位にある者をいった。万乗は、日本では天皇の称として用いられ、「一天万乗の君」「万乗の位」などの用例がみられる。

[宇田敏彦]

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