三・三制(読み)さんさんせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三・三制」の意味・わかりやすい解説

三・三制
さんさんせい

1941年、中国共産党が、抗日根拠地(解放区)において、民族統一戦線政権を樹立する際にとった政権参加要員配分政策共産党員(労働者階級と貧農を代表)、左派進歩分子(プチ・ブルジョアジーを代表)、中間分子およびその他の分子(中クラスのブルジョアジーと開明紳士を代表)が、ほぼそれぞれ3分の1を占める。最下級の政権においては、要員の配分には若干の変動があってもよいとされたが、それは地方のボス地主が政権内に強力な地歩を築くのを防止するためであった。三・三制の目的は、政権に対する共産党の指導を保証し、進歩勢力を発展させ、中間勢力を引き入れ、頑固派を孤立化させ、売国奴や反動派には独裁を行うことであり、抗日戦争の展開に大いに役だった。

[山下龍三]

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百科事典マイペディア 「三・三制」の意味・わかりやすい解説

三・三制【さんさんせい】

中国共産党が,新民主主義に基づき解放区で1940年10月以降施行した政策で,抗日戦中での政治諸勢力の結集を目的とする。三・三の名称は,共産党の一党独裁避け,共産党・国民党その他の進歩分子および中間諸派の3者が,それぞれ構成員の3分の1を占める合議制機関設置の原則を示す。
→関連項目抗日戦争

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三・三制」の意味・わかりやすい解説

三・三制
さん・さんせい
San-san-zhi

中国共産党が,1940年から解放区で抗日戦に対応するために採用した各級政権機関における組織原則。各級機関の構成人員の比率を共産党,国民党および各党各派,無党無派それぞれ3分の1とした。その目的は共産党独裁への不安と誤解を一掃し,地主,資本家を含む広範な抗日民族統一戦線を強固にすることにあった。

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世界大百科事典(旧版)内の三・三制の言及

【抗日民族統一戦線】より

…中共は抗日の実践において国民党に拘束されず,日本軍の後方で遊撃戦を展開し,抗日根拠地を拡大した。かつ根拠地では各級政府機関で中共党員は3分の1を超えてはならぬとする原則(三・三制)のもとに,広範な愛国人士を結集した統一戦線の政権を確立していった。蔣介石集団の反共攻撃にたいしては,抗日世論を背景にそのつど効果的に反撃し,日本軍の降伏にいたるまでは国共両党の合作を維持することができた。…

※「三・三制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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