三大改革(読み)さんだいかいかく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三大改革」の意味・わかりやすい解説

三大改革
さんだいかいかく

徳川時代に行われた三度の幕政の大改革。徳川期には幕府政治のうえで大きな改革が三度あったといわれている。すなわち、8代将軍徳川吉宗(よしむね)の行った享保(きょうほう)期(1716~36)の政治、老中松平定信(さだのぶ)による寛政(かんせい)期(1789~1801)の政治、老中水野忠邦(ただくに)が天保(てんぽう)期(1830~44)に行った政治をいい、改革として明瞭(めいりょう)に意識され断行せられたそれぞれの政治上の転換を享保の改革、寛政の改革、天保の改革という名称で呼び習わし、しかも、それらを総称して三大改革ということが慣例となっている。

 いずれにも共通していえるのは、改革の出発点において、幕政を担当している当面の責任者がきわめて深刻化した幕府財政をその窮迫の状態から立て直し、これと関連して幕政全般の立て直しを考慮する必要に迫られ、それを断行したことである。三大改革はいずれも改革を実施し、財政危機を回避しようとするにあたって、前段階の政治のあり方を反省し、その批判のもとに明確に意識して政治の変更を試みようとした側面をもっている。もっとも財政危機といっても、幕府の権力基礎となっている封建社会社会構造変質をきたし、それが構造的な危機を招来したことに対する政策的対応である。このためには一定発展に応じて発生した封建的諸関係にみられる社会的矛盾激化に、次期政権の担当者が鋭く政治上の危機を察知することにより、幕府の政治的秩序の再建を企図し、従来行ってきた政策を転換するに至ったことから生まれたものである。

津田秀夫

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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