下様(読み)しもざま

精選版 日本国語大辞典 「下様」の意味・読み・例文・類語

しも‐ざま【下様】

〘名〙 (「しもさま」とも)
① 下の方。したざま。⇔上様(かみざま)
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「下(シモサマ)に諸山を望めば、培を観るが若し」
下層階級の者たち。下賤の人々。しもじも。下民。
※中右記‐保延二年(1136)一〇月六日「凡如此失礼は上さまは吉事也、しもさまは無便事也」
③ 卑しい様子ふるまい
歌舞伎・戻橋脊御摂(1813)六立「茶碗酒の下様を止めにして」
④ 京都で、下京方面をいう。
※宇治拾遺(1221頃)四「此女、これがしなさんやう見んとて、尻にたちて、京ざまに出でぬ。下ざまに行とまりて家有」
後世。後の時代。
愚管抄(1220)一「兄の太郎の御子を射ころし給しは、すべて悪をしりぞけて善に帰する心也〈略〉天武には又大友皇子もうたれ給ひ、此例は下ざままでも多かり
⑥ 命婦(みょうぶ)、女蔵人、御差を総称していう女房詞。おしも。
※公家言葉集存(1944)四「御下様 オシモサマ」

くだり‐ざま【下様】

〘名〙
① 下る方向へ向かう様子。また、下る時。
今昔(1120頃か)二「深き河の底より下(くだり)ざまに遙に走り下ぬ」
② 悪い方向へ向かう様子。
発心集(1216頃か)八「かれ悪事を思ふはくだりざまの事なれば」

おり‐さま【下様】

〘名〙 (「おりざま」とも)
① 下りる時。おりぎわ。
仮名草子犬枕(1606頃)「油断せらるる物〈略〉一 木上りのおりさま地際(ぢぎわ)
② おりるときの様子。

くだり‐さん【下様】

〘名〙 (「さん」は接尾語) 江戸時代上方から江戸など地方に出て来た人をいう語。
洒落本・芳深交話(1780)「好さま、わしが所の下りさん呼んでくだんせ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「下様」の意味・読み・例文・類語

しも‐ざま【下様/下方】

下の方。⇔上様かみざま
狩衣の前、―にまくり入れてもゐるかし」〈能因本枕二五
身分教養などの低い人々。しもじも。⇔上様かみざま
「―の人の物語は、耳驚く事のみあり」〈徒然・七三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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