下水道の整備を図り、都市の健全な発達と公衆衛生の向上に寄与し、公共用水域の水質の保全に資することを目的とする法律。昭和33年法律第79号。旧下水道法(明治33年法律32号)にかわって制定された下水道の設置・管理についての基本法である。
現行の下水道法は、下水道を、公共下水道、流域下水道、都市下水路の3種に区別し、それぞれの設置・管理について必要な定めを設けている。公共下水道は、主として、市街地における下水を排除し処理する下水道で、終末処理場を有するか流域下水道に接続するもので、相当部分が暗渠(あんきょ)構造であるものをいう。設置・管理は原則として市町村が行う。公共下水道を設置するには、事業計画を定め国土交通大臣の認可を要し、公共下水道の構造、放流水の水質、終末処理場の維持管理についての基準が定められている。公共下水道の供用が開始されると、住民は、排水設備の設置義務を課せられ、処理区域内でくみ取り便所を設けている建築物の所有者は水洗便所に改造しなければならない。公共下水道の維持管理のため、使用料および工事負担金の徴収が認められる。また悪質の下水を排水する工場などに対しては、除害施設の設置を命じることができる。なお、公共下水道の設置・改築等のため、国が公共団体に対して、国庫補助金、資金の融資などの援助を与えることができる。
[宮田三郎]
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…下水道の効果として見落とせないもう一つの重要な点は,市街地内における汚水の排除と終末の下水処理によって,コレラ,腸チフス,パラチフス,赤痢などの水系の消化器系伝染病が予防されていることである。
【下水道の種類】
日本の下水道は下水道法により公共下水道,流域下水道,都市下水路およびその他の公共下水道に分類されている。さらにこれらとは別に,団地や住宅開発地では家庭雑排水と水洗便所排水を併せて処理する(この方式を合併処理という)施設をもった私的下水道も存在し,この場合,処理水は最寄りの排水路か河川に放流される。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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