下足番(読み)げそくばん

精選版 日本国語大辞典 「下足番」の意味・読み・例文・類語

げそく‐ばん【下足番】

〘名〙 人がぬいだはきものの番をすること。また、その人。特に、芝居寄席(よせ)などで、はきものを預かる人。下駄(げたばん)下足。げそ。
油地獄(1891)〈斎藤緑雨〉三「何か云ひたかったが云ふ折でもなく、又た云ふことも出来ぬので其儘下足番の所へ行った」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「下足番」の意味・読み・例文・類語

げそく‐ばん【下足番】

脱いだ履物の番をすること。また、その人。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「下足番」の意味・わかりやすい解説

下足番
げそくばん

人が脱いだ履き物を預かり、その番をすること。またその人。とくに寄席(よせ)、料亭などで屋号を染め抜いた印半纏(しるしばんてん)を着て客の下駄(げた)番をする人。客から履き物を受け取った際には、預かった証拠として下足札(ふだ)を手渡す。ときには客は預け賃として下足番に下足料を支払うこともある。近年土足で入る場所が多くなり、ほとんどみかけない。

[芳井敬郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「下足番」の意味・わかりやすい解説

下足番
げそくばん

客のはきものの出し入れ仕事とする人。日本家屋では座敷に上がるのにはきものを脱がなければならないため,大勢の人が集る場所で必要とされた。現在では一流料理屋旅館にみられるだけである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の下足番の言及

【下足】より

…客などが座敷へあがるためにぬいだ履物を下足という。江戸時代から芝居小屋,料亭,寄席,遊郭,集会所,催物場などが,下足番を置いて客の履物をあずかって下足札をわたした。旅館も客の履物をあずかるが,昔の旅客はわらじ履きだったので下足札はわたさなかった。…

※「下足番」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android