公正な自由競争を制限したり、不正な方法で行われたりする経済活動の総称。対策は、不公正取引の排除と不正競争の禁止に大別される。前者の中心は独占禁止法(昭和22年法律第54号)、後者の中心は不正競争防止法(平成5年法律第47号)による。
独占禁止法によれば、不公正取引とは、〔1〕競争者と共同して、(1)供給を拒絶したり制限したりすること、(2)他の競争者にそれらをさせること、〔2〕差別的対価で取引すること、〔3〕不当廉売によって他の事業者を困難に陥れること、〔4〕取引相手に再販売価格維持の拘束条件をつけること、〔5〕取引上の地位の優越を利用して、取引に関係ない商品を購入させたり経済的利益を提供させるなど、正常な商慣習を逸脱する行為をすること、〔6〕不当に差別的に取り扱う、不当な対価で取引する、競争者の顧客を不当に誘引する、不当な拘束条件を課すなどの行為、である。
これらの行為を行った者に対し、公正取引委員会は適当な措置をとるよう勧告する。勧告に不服の者は、審判に持ち込むことができるが、その結論である審結は強制的拘束力をもつ。
不正競争防止法によれば、不正競争とは、〔1〕他人の商品等表示(氏名、商号、商標、包装等)を使用し取引して他人と混同させる行為、〔2〕他人の商品形態を模倣して取引する行為、〔3〕不正手段によって他人の営業秘密を取得し使用する行為、〔4〕営業上の技術的制限手段(プログラム等)の効果を妨げる装置を提供する行為、〔5〕不正な利益を得る、または他人に損害を与える目的で、他人のドメインを使用する行為、〔6〕競争者の信用を害する虚偽の事実を告知し流布する行為などをいう。
不正競争防止法は、不正競争のうち詐欺的行為を10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処し、商品等表示の使用を5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処すとしている。被害者には、損害賠償請求権、信用回復措置請求権、差止請求権が与えられる。
以上の2法によるもののほか、不公正取引に関しては、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)による過大懸賞付き販売の規制、および屋外広告物法(昭和24年法律第189号)、食品衛生法(昭和22年法律第233号)、薬事法(昭和35年法律第145号)、特許法(昭和34年法律第121号)などによる広告や表示の規制がある。
[森本三男]
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