不斉(読み)フセイ

デジタル大辞泉 「不斉」の意味・読み・例文・類語

ふ‐せい【不斉】

そろわないこと。
分子などが立体構造対称性を欠く現象鏡像関係にある異性体2種の存在が可能となる。

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精選版 日本国語大辞典 「不斉」の意味・読み・例文・類語

ふ‐せい【不斉】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) そろわないこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「いま擬道する聞者吟者は、吟龍吟者に不斉なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)龍吟)

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化学辞典 第2版 「不斉」の解説

不斉
フセイ
asymmetry

分子の立体配置に関する用語乳酸のように C1 点群に属し,360°回転以外のあらゆる対称要素をもたない無対称の属性をいう.また,英語のdissymmetry(不均斉)の意味に用いる場合もある.dissymmetryとは,対称面対称心回映軸を含まないということであり,asymmetryも含めた概念である.たとえば,1,3-ジクロロアレンのように C2 点群に属するものはdissymmetryを有する.dissymmetryに対応する用語としてキラル(chiral)という用語も用いられている.asymmetry,dissymmetryいずれの場合にも,それを有する分子の鏡像はそれ自身と重なり合うことがなく,鏡像異性体が存在する.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不斉」の意味・わかりやすい解説

不斉
ふせい
asymmetry; dissymmetry

化合物の立体配置が,その鏡像体と重ね合すことができないとき,すなわち光学対掌体の関係にあるとき,その分子構造は不斉であるという。光学活性現象は分子が不斉であることによって起る。次の4種の対称要素 (1) 対称心,(2) 対称面,(3) 回映軸,(4) 回転軸 (ただし1回回転軸を除く) をすべて欠く場合に分子は不斉な構造をとるという。不斉炭素原子 1個を有する四面体構造は,これらすべての対称要素を欠いている。なお,物質が光学活性であるためには,これらの対称要素のうち (1) ,(2) ,(3) を欠いていればよい。正確にはこの場合の不斉を dissymmetryといい,4つの対称要素すべてを欠く場合を asymmetryという。

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普及版 字通 「不斉」の読み・字形・画数・意味

【不斉】ふせい

わぬ。

字通「不」の項目を見る

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