中国料理/嗜好調味料と香辛料(読み)ちゅうごくりょうりしこうちょうみりょうとこうしんりょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中国料理には、基本調味料のほかに数多くの嗜好調味料や香辛料が用いられ、独特の味を引き立てている。ここには、その主要なものを種類別に五十音順に掲げた。


〔嗜好調味料〕
沙茶醤(シャーチャーチャン)
 エビの肉のみじん切り(蝦醤(シャチャン))にヤシの実やショウガ、トウガラシの粉末、五香粉(ウーシャンフェン)、ニンニク、芝麻粉(チーマフェン)、塩、砂糖、落花生(らっかせい)油を混ぜてどろどろにしたもの。串(くし)刺しの焼肉料理などのたれに用いる。南方料理によく使われ、マレーシアなどの華僑(かきょう)は好んでこれを用いてきた。

蝦滷(シャルー)・蝦油(シャユー)・蝦醤(シャチャン)
 蝦滷は、毛蝦(マオシャ)というエビを塩漬けにして出る漬け汁。蝦油は、塩漬けにした毛蝦を天日にさらして発酵させ、そこからしみ出た液の上澄みをいう。蝦醤は、蝦油をとった残りの沈殿した毛蝦でつくった醤(ひしお)で、一般の総菜に用いられる。蝦滷・蝦油ともに北京(ペキン)料理の上等調味料とされる。

芝麻醤(チーマチャン)
 あたりゴマ。白ごまを油が出てねっとりするまでよくすりつぶしたもので、和(あ)え物、鍋(なべ)物などに用いる。北京(ペキン)料理によく使われる。

豆瓣醤(トウパンチャン)
 豆板醤とも書く。そらまめみそ。ソラマメまたはダイズを主原料にして、塩、麹(こうじ)、小麦粉、トウガラシ、ウイキョウなどを加えて発酵させたもので、四川(しせん)料理に多く用いられる。トウガラシの辛さが強いので、使用量には要注意。主産地は長江(ちょうこう)流域で、とくに安慶産は有名である。ラッカセイを原料にしたものもある。豆瓣醤は回鍋肉(ホイクオロウ)や麻婆豆腐(マーボートウフー)、野菜炒(いた)めなど中国料理に広く使われている。

蠔油(ハオユー)
 カキソース。カキの塩辛のようなもの。味が濃厚で焼売(シャオマイ)(シューマイ)や包子(パオツ)にしょうゆ、塩などとともに少量加えると香味がよくなるので、広東(カントン)料理でよく用いる。

腐乳(フールー)
 発酵豆腐。醤豆腐(チャントウフー)、豆腐乳(トウフールー)をはじめ腐乳の異名や種類は多い。硬度を高めて製造した豆腐に塩、麹(こうじ)、香辛料を加えて発酵させたもの。豆腐のもろみ漬けのような感じで、独特の味と香りがある。大別して白腐乳(パイフールー)と紅腐乳(ホンフールー)があり、白腐乳のあまりトウガラシのきかないものは、そのまま酒の肴(さかな)や粥(かゆ)の菜に用いられる。紅麹(べにこうじ)を加えトウガラシのきいた紅腐乳は、餃子(ギョウザ)や鍋(なべ)物の薬味としても用いられる。

黒醋(ヘイツウ)
 黒い色をした醋(ツウ)(酢)で、普通の醋より酸味が弱く、つくるときにサンショウや八角を加えるので、独特の香味がある。味の引き立てに、肉料理に用いることがあるが、日本ではあまり知られていない。燻(いぶ)した麹(こうじ)でつくるので燻醋(シュンツウ)ともいう。

辣油(ラーユー)・辣椒油(ラーチャオユー)
 トウガラシ入り油。上質のごま油に種子を抜いた赤トウガラシをたくさん入れて弱火にかけ、煙の出ないうちに火からおろしてさまし、ふたたび火にかける。これを数回繰り返して赤いトウガラシがしだいに黒くなったら、トウガラシを除いて瓶に詰めておく。つけじょうゆなどにすこし入れると、ピリッと辛くて風味を増す。


〔香辛料〕
五香粉(ウーシャンフェン)
 ウイキョウ、サンショウ、ニッケイ、丁香(ティンシャン)(チョウジ)、陳皮(チェンピー)(干したミカンの皮)の五種類の粉末を混ぜたもので、香りが強いのでごく少量を肉料理などに用いる。

姜(ジャン)
 ショウガ。ネギと同様に臭み消しや風味づけに欠くことができない。スープや煮込み料理には包丁でたたきつぶして少量入れる。みじん切りは炒菜(チャオツァイ)に、絞り汁は溜菜(リウツァイ)になど、使用する範囲は広い。

蒜頭(ソワントウ)
 ニンニク、大蒜(ダーソワン)ともいう。肉類、魚貝類の料理にはぜひ必要で、古くから中国では使用していた。強壮剤でもあり、殺菌作用もある。

芥末(チエモ)
 からし粉。黄色いからしの粉末で、練りがらしとして食卓に多く供される。芥子(チエツ)の種子を粉末にしたもので、練りがらしは冷拌(ロンパン)(冷たい和(あ)え物、酢の物)によく用いられる。

陳皮(チェンピー)
 ミカンの皮を乾燥したもので、柑橘(かんきつ)類特有の芳香と苦味がある。鶏や食用ガエルなどの料理に用いる。

葱(ツォン)
 長ネギ。副材料としてよりも香味料として用いる場合が多い。独特の風味が材料の臭みを消し、また毒消しにもなって、中国料理特有の味を出す。煮込み料理には7センチメートルくらいの長さのぶつ切りを、炒菜(チャオツァイ)には白根だけをみじん切りにして加える。

丁字(ティンツー)
 丁香(ティンシャン)ともいう。チョウジの花のつぼみを乾燥したもの。つぼみの干したものをそのままか、粉末にして用いる。肉料理や加工食品の香りづけなどに使用される。

八角茴香(パーチヤオホイシャン)
 ダイウイキョウ。角(つの)を八つ出した形でヒシの実に似ているが、特殊な強い香りがあり、肉、内臓、魚類の煮物や蒸し物に用いる。小茴香(シャオホイシャン)(ウイキョウ)は漬物に向く。芳香が強いので、使用量に注意。

胡椒(フーチャオ)
 こしょう。粉末は胡椒麺児(フーチャオミエンル)(粉こしょう)。中国では古くから料理に用いられた。粒のまま、あるいは粉末として一般料理に盛んに使用されている。

花椒(ホワチヤオ)
 サンショウ粒。粉末にしたものは花椒末(モー)(粉ザンショウ)。鳥獣肉の臭みを消し、また漬物、点心などに香味、風味をつけるのに用いる。山椒(シャンチャオ)は花椒と同じ。日本のものと多少異なるが、中国料理では葉は使わず、完熟果の果皮を粒のまま、または粉末にして用いる。

花椒塩(ホワチヤオイエン)
 粉ザンショウ7に食塩3の割で炒(い)り混ぜ、うま味調味料少々を加える。炸菜(チャーツァイ)のふりかけ、あるいは湯菜(タンツァイ)、炒菜(チャオツァイ)などに用いる。

肉桂(ロウコイ)
 にっけい。ニッケイの皮を乾燥したもので、粉末もあり、軽い刺激性の甘さと辛さと独特の芳香をもつ。各種の料理、点心などに愛用される。桂皮酒(コイピーチウ)にも用いられる。

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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