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トウガラシ

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栄養・生化学辞典の解説

トウガラシ

 [Capsicum annuum].ナス目ナス科トウガラシ属の植物(Capsicum属)で,スパイスや野菜として食用にされる.幸味の強いchilli系の品種から,辛味の少ないか,ほとんどないsweet系(アマトウガラシ)の品種まで多くの品種がある.

出典|朝倉書店
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食の医学館の解説

とうがらし【トウガラシ】

トウガラシは中南米原産のスパイスで、この一帯では数千年前から、広く栽培されていました。一方、それがヨーロッパに持ち込まれたのは、15世紀末の新大陸発見以後のことです。
 しかし、その刺激的な辛みの魅力と強い繁殖力のため、わずか50年ほどでアジアからアフリカにまで普及。現在ではもっとも重要なスパイスの1つとして、世界中の料理に欠かせない存在となっています。
〈辛み成分カプサイシンがさまざまな作用を発揮〉
 トウガラシに含まれる辛みの主体であるカプサイシンは、アドレナリンの分泌(ぶんぴつ)を高めて、体脂肪を燃焼させる働きがあることから、最近、高い注目を集めています。
 また、消化液の分泌や発汗、血行の促進、鎮痛にも、すぐれた作用を発揮。さらに、ビタミンCやカロテンによって、抗酸化作用を高め、悪玉コレステロールを減少する作用もあるといわれます。
 こうしたことから、トウガラシは、肥満の防止・解消に役立つほか、食欲不振消化不良、夏バテ、冷え症動脈硬化などの予防・改善に有効とされています。
○外用としての使い方
 トウガラシを漬け込んだ薬用アルコールを外用薬として塗布すれば、肩こりリウマチ、神経痛などの痛みをやわらげ、しもやけ、円形脱毛症にも効果を発揮します。
 ただ、過度に摂取すると、胃や腸の炎症をまねく場合があるので、無茶な食べ方は禁物。
 とくに、充血をともなう眼疾患や痔疾(じしつ)アトピー性皮膚炎ぜんそくが持病の人は要注意です。外用にする場合も、皮膚の弱い人や傷のあるときは注意してください。
〈量はもちろん、刻み方でも辛みが変化する〉
○食品としての使い方
 トウガラシの利用範囲は非常に広く、インド、韓国、メキシコ東南アジアなどの料理にはもちろん、日本料理でも麺類(めんるい)の薬味や漬けものの風味付けに欠かせません。
 その持ち味である刺激的な辛みは、熱を加えても変化しないのが特徴です。
 また、細かく刻むと辛みがより強くなるので、必要に応じて、使う量だけでなく刻み方もかえるといいでしょう。
 もし、辛くなりすぎたときは、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を加えると、刺激がやわらぎます。

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トウガラシ
とうがらし / 唐辛子
red pepperhot pepper
[学]Capsicum annuum L.

ナス科の多年草であるが、温帯では一年草として扱われる。草丈は0.3~1メートルになり、枝分れして広く張り、茂る。葉は披針(ひしん)形でやや細く、先はとがる。夏から秋、葉の付け根に白い5弁花を開く。果実は品種によって形、大きさが異なる。いずれも若いうちは緑色、熟すにつれ黄色から赤色または紫黒色になる。果肉も種子も辛いのが基本的特徴であるが、辛味のない変種もある。草姿、果形、辛さなど変異があるが、辛さによって辛いトウガラシと甘いトウガラシに大別され、それぞれにいくつかの変種がある。
〔1〕辛いトウガラシ (1)タカノツメ(鷹の爪)var. conoides Baileyは果実は小さく長さ2~5センチメートル、タカのつめのように曲がった形が代表品種。トウガラシのうちでもっとも辛く、香りもよい。メキシコのチリchiliesやアメリカのタバスコtabascoもこの類で、世界的に利用されている。(2)ヤツブサ(八房)var. fasciculatum Baileyは果実が茎の頂部に6~10本束状に上向きにつく。朝鮮名物のキムチによく使われる。(3)フシミ(伏見)var. longum Baileyは果実は細長く、品種によって7~30センチメートルの変化がある。辛味は適度のものが多いが、この系統のケイエンcayenneは辛味で有名。(4)エノミ(榎実)var. cerasiforme Baileyは果実は小粒。
 このほか辛いトウガラシには果実の色が紫、黄、赤など変化が多く、観賞用として栽培される品種(ゴシキトウガラシなど)もある。
〔2〕甘いトウガラシ (1)ピメントvar. grossum Baileyは果実は大きな円錐(えんすい)形で多肉質、淡い甘味と香りが優れる。アメリカで多い扁平(へんぺい)な果実のスコッシュsquash、日本で栽培の多いピーマンもこの類である。このほか、フシミの類のパプリカpapricaは果実が鮮やかな赤色であることで有名。また日本で江戸時代から栽培されるシシトウガラシ(獅子唐芥子)は果実は細長く、香気が高い。[星川清親]

栽培

春に苗床に種子を播(ま)き、苗を本畑に定植する。ピーマンなど果菜用のものは順次若い果実を収穫するが、辛味用の品種は晩秋になって果実が赤く熟してから収穫し、果実をよく日に干して貯蔵する。
 日本ではピーマンの生産量は第二次世界大戦後から急増し、現在は年産十数万トンに上り、温室ハウスなどを利用して周年供給されている。[星川清親]

起源と伝播

トウガラシにはアニュームC. annuum L.、シネンスC. chinense L.、ペンドゥラムC. pendulum L.、ピュベセンスC. pubescens L.の四つの栽培種がある。世界各地で広く栽培されているのはアニュームである。この祖先種は、アメリカのフロリダ、アリゾナからメキシコ、コロンビアに至る地域に雑草として分布している変種ミニマムvar. minimum L.である。栽培種の起源地は、核型による細胞学的研究からメキシコであると考えられる。考古学的資料でも、メキシコ中部のテオティワカン谷の紀元前6500~前5000年の地層から栽培種の原始的なものが発見されている。大陸発見当時まではメキシコ南部からコロンビア北部の地域で栽培されていた。南アメリカまで広く栽培されたのはそののちで、ヨーロッパに伝播(でんぱ)した時期と大差がない。シネンスはコロンビアおよびペルーのアマゾン地域の低地帯の起源で、その祖先種は雑草型のフルテセンスC. frutescens L.である。西インド諸島、南アメリカ北部、ペルー、ボリビアおよびそれらのアマゾン上流と海岸低地に栽培されている。ペンドゥラムはペルー南部およびボリビアのやや高所のアンデス山麓(さんろく)地帯の起源で、北はエクアドル、南はアルゼンチン北部、東は南東ブラジルまで栽培されている。この祖先種はその変種バカトムvar. baccatum L.で、雑草としてペルー南部、ボリビアおよびブラジル南部に分布している。シネンスおよびペンドゥラムの両栽培種は前2000年ころには栽培されていた。ピュベセンスはペルー、ボリビアの中央アンデスの中腹2000メートル前後のユンガ地帯に栽培され、この地域の固有な多年生の木本植物である。その祖先種はボリビアの低地に自生するエクシミュムC. exmium L.とされているが、確実な証明はない。
 ヨーロッパにはコロンブスによって1493年にスペインに入った。1548年にはイギリスに入り、16世紀の中ごろにはヨーロッパ全域に広まり、辛味食品として注目された。東洋に伝播したのは16世紀で、インド、東南アジア、中国へと急速に広まり、17世紀には東南アジア各地で栽培され、それらの地域では現在、重要な香辛食品となった。
 日本へ伝播したのは16世紀のことで、1542年(天文11)ポルトガル人によって伝来した。南蛮船が中国の港を経て長崎にこれをもたらしたということで、唐(中国)の芥子とよばれ、また南蛮ともよんだ。一説には秀吉の朝鮮出兵の際に兵士が持ち帰ったともいわれ、高麗(こうらい)コショウの名もある。その後、明治初年には欧米から甘いトウガラシなど多くの品種が導入された。[田中正武]

食品

食品として、また調味、香辛料として用いられるトウガラシ類をカプシカムペパー、またはレッドペパーというが、国や地方によって呼び名や品種もさまざまである。チリは一般に辛い品種の総称と考えられているが、メキシコでは辛味種、甘味種いずれもチリとよばれる。カイエンペパーは非常に辛い種類をいい、タバスコはアメリカ、ルイジアナ州で独占的に栽培されているタバスコソース用の小形で赤い色と強烈な辛味をもつ品種、パプリカはハンガリーやスペインで産する甘いトウガラシ、ギニアペパーはギニア産の辛い品種である。ピーマン、ピメント、シシトウガラシなどの変種も多いが、これら甘味種はおもに野菜として食され、香辛料として用いられるのは辛味の強い品種である。密植して葉を茂らせるハトウガラシは、葉を甘辛く炒(いた)め煮して食用にする。
 日本産のトウガラシは、世界でもっとも品質がよく、辛味、風味、色調ともに優れ、本鷹(ほんたか)、鷹の爪(たかのつめ)、三鷹(さんたか)、八房(やつぶさ)などの品種は有名である。辛味の主成分はカプサイシンで、唾液(だえき)や胃液の分泌を促し、食欲を増進させる作用があるほか、昔から薬用効果もあるとされて、皮膚引赤薬や健胃駆風剤として用いられてきた。調味料としてはウースターソース、ペパーソース、タバスコソース、七味唐辛子に配合されており、カレーの辛さの強弱も唐辛子の配合量の多少によってつけられる。朝鮮料理のキムチや、メキシコ料理のチリコンカルネ、タコス、エンティラーダに、中国料理ではとくに四川(しせん)料理に代表される各種肉料理や漬物に多く用いられる。辣油(ラーユー)や搾菜(チャーツァイ)の辛さもこの唐辛子である。世界の広い範囲の国々の料理に用いられている数少ない香辛料の一つである。[齋藤 浩]

薬用

赤色ないし暗黄赤色の果実を蕃椒(ばんしょう)またはトウガラシと称して、薬、香辛料、食品に用いる。辛味成分であるカプサイシンを約0.2%含むため、非常に辛いが、漢方では肺炎、リウマチ、神経痛、筋肉痛などの皮膚引赤薬として使用するほか、健胃駆風剤としてとくにアトニー性消化不良の治療に使う。赤色はカロチノイド色素によるものであるが、その他の成分としてビタミンC、有機酸、脂肪油を含むので食品としての価値も高い。[長沢元夫]

文化史

もっとも古いトウガラシC. annuumはメキシコのテオティワカンの紀元前6500~前5000年の遺跡から出土している。それはへたを欠いており、野生種と同じ脱落性であるが、果実と種子が大きく、古い栽培型であると推察されている。ペルーでは別種のシネンスC. chinenseがアンコンの前2500年ころの遺跡から、ペンドゥラムC. baccatum var. pendulumがワカ・プリエタの前2000年の遺跡からそれぞれ発見され、栽培下にあったとみられる。
 日本への渡来は、天文(てんぶん)11年(1542)ポルトガル人によって伝来したとされる(『草木六部』)。ほかに文禄(ぶんろく)年中(1592~96)豊臣秀吉(とよとみひでよし)出兵のおりに高麗(こうらい)より(『花譜』)、慶長(けいちょう)10年(1605)朝鮮より(『対州編年略』)などの諸説がある。渡来初期の記録として『石原家記』には、1623年(元和9)に「秀吉公朝鮮陣之節来ると云(い)う」とある。南蛮胡椒(なんばんこしょう)、唐辛子などの名称からしても、渡来のルートはいくつかあったと考えられる。トウガラシは「唐枯し」に通じるとして、長崎では嫌われた。
 渡来初期は観賞用としても栽培され、『訓蒙図彙(きんもうずい)』(1666)は花草の部に、貝原益軒も『花譜』(1694)に載せた。トウガラシの品種は江戸時代に多数分化し、大小、長短、丸、細、尖(せん)、紅、黄、雑色と形や色彩の変化に富み、『成形図説』(1804刊)では16、1882年(明治15)ころの伊藤圭介(いとうけいすけ)の『蕃椒図説(ばんしょうずせつ)』では52の品種が図示されている。[湯浅浩史]

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