中心体(読み)チュウシンタイ

デジタル大辞泉 「中心体」の意味・読み・例文・類語

ちゅうしん‐たい【中心体】

細胞内小器官の一。細胞分裂の際にだけみられる顆粒かりゅうで、二つに分かれて細胞両極に行き、これを中心として紡錘糸ができ、染色体を移動させる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「中心体」の意味・読み・例文・類語

ちゅうしん‐たい【中心体】

  1. 〘 名詞 〙 細胞内小器官の一つ。細胞分裂のさい、二つに分かれて細胞の両極に行き、これを中心として染色体群が移動するので細胞分裂の中心的役割を果たすと考えられる顆粒

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中心体」の意味・わかりやすい解説

中心体
ちゅうしんたい

動物細胞の分裂期において、分裂装置星状体紡錘体よりなる)の形成中心となる顆粒(かりゅう)状構造体をいう。有糸分裂に重要な働きをするので、有糸分裂中心、分裂中心などともよばれる。その構造は中央部に一対の中心子(中心小体、中心粒)centrioleと、それを取り囲む顆粒状または繊維状の中心子外周物質pericentriolar materialからなる。中心子は、直径約200ミリミクロン、長さ約700ミリミクロンの円筒状を呈する。その構造は、9本の3連微小管が筒状に並んだもので、その円筒状構造の先端部と基部にはそれぞれ特殊な構造がみられる。哺乳(ほにゅう)動物の培養細胞で、細胞サイクルの間期の状態では、中心体は核に接している。細胞がS期に入ると、中心体の自己複製が始まる。中心体内の2個の中心子はそれぞれの基部近くに娘(じょう)中心子をつくる。S期の後期では、その一対ずつが分離して移動を始め、核の両側に位置するようになる。有糸分裂前期になると、微小管の形成が中心子外周物質を核として始まり、二つの星状体が成長する。やがて核膜が消失すると、星状体の間に紡錘体が形成される。また、繊毛や鞭毛(べんもう)の基部にある基底小体も微細構造は中心子と同じで、同じく中心子ともよばれる。なお、植物細胞には、コケ、シダ、ソテツなどの特殊な例を除いて中心子はみられないが、核内での微小管形成中心の働きで紡錘体が形成される。

[酒井彦一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「中心体」の意味・わかりやすい解説

中心体【ちゅうしんたい】

多くの下等植物や一般の動物細胞の細胞質内にみられる小体。普通,核の近くにあり,中心にある1〜2個の中心粒とまわりの基質からなる。中心粒は9本の短い管が縦に環状に並んだ円筒状をなす。細胞分裂の際,2分して両極へ移動し,二つの中心体の間に紡錘体が形成される。
→関連項目細胞質

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中心体」の意味・わかりやすい解説

中心体
ちゅうしんたい
centrosome

一般に動物や下等植物の細胞質内で,核の近くにあり,細胞分裂の際に中心的役割をすると考えられている小構造体。中心体の中に普通2個の短円筒形の中心粒があり,両者は直交した位置にある。その周辺を中心球という。核分裂が始ると1個の中心体は分裂して2個になり,それぞれ核の両極に移動し,そのまわりに星状体が発達してくる。2つの中心体の間には紡錘体が発達してきて核分裂が行われるようになる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「中心体」の解説

中心体

 動物細胞などの細胞質にある細胞内器官の一つで,細胞分裂のとき,染色体を引っぱるチューブリン糸(紡錐体)の起点のようにみえる構造体.細胞運動の統御中枢とされる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android