中村喜代三郎(読み)なかむら・きよさぶろう

朝日日本歴史人物事典 「中村喜代三郎」の解説

中村喜代三郎(初代)

没年:安永6.6.18(1777.7.22)
生年享保6(1721)
江戸中期の歌舞伎役者俳名文次,花暁。屋号伊勢屋。初代榊山小四郎の門人榊山与惣十郎の子。初代中村新五郎の門に入り,享保17(1732)年京都嵐小六座に色子として出勤している。同20年に若女形となった。延享1(1744)年から3年までは都万太夫座の座本を勤めている。寛延2(1749)年江戸に下って好評を得て,以後京都,大坂,江戸の三都で活躍した。美しい容姿で女性に人気があったが,物言いがすっきりせず落ち着きに欠けたという。傾城,女侠が得意,また愁い事をよくした。喜代三郎の名跡は,明治期まで4代続き,いずれも若女形を勤めた。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1・2期,『古今役者大全』(『日本庶民文化史料集成』6巻)

(加藤敦子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中村喜代三郎」の解説

中村喜代三郎(初代) なかむら-きよさぶろう

1721-1777 江戸時代中期の歌舞伎役者。
享保(きょうほう)6年生まれ。初代中村新五郎の門弟。享保(きょうほう)19年喜代三郎を喜世三郎にあらため,20年喜代三郎にもどした。延享元年京都都(みやこ)万太夫座の座本となる。江戸,京坂で活躍し,若女方を得意とした。安永6年6月18日死去。57歳。俳名は文次,花暁。屋号は伊勢屋(いせや)。

中村喜代三郎(2代) なかむら-きよさぶろう

?-? 江戸時代中期の歌舞伎役者。
初代中村喜代三郎の子(または養子)。安永7年(1778)大坂で2代喜代三郎を襲名。若女方をつとめ,9年江戸森田座に出演。のち大坂にかえり俏方(やつしがた)に転じた。前名は中村松兵衛(3代)。通称は喜代三。俳名は花暁。屋号は伊勢屋。

中村喜代三郎(5代) なかむら-きよさぶろう

?-? 幕末-明治時代の歌舞伎役者。
初代片岡市蔵の門弟となり,のち中村宗十郎の門にはいる。明治8年大阪中座で喜代三(2代)を襲名。二枚目女方として京坂の舞台をつとめた。本名は高岡銀杏丸。初名は片岡いてふ。前名は片岡芦雀,片岡銀杏丸。

中村喜代三郎(3代) なかむら-きよさぶろう

?-? 江戸時代後期の歌舞伎役者。
2代中村喜代三郎の養子となり,寛政11年(1799)3代を襲名。京都・大坂の宮地芝居や旅芝居に出演する。文化5年大坂の竹田芝居で若女方をつとめた。初名は中村喜代蔵。別名に竹田喜代三。俳名は花暁。

中村喜代三郎(4代) なかむら-きよさぶろう

?-1877 幕末-明治時代の歌舞伎役者。
13代中村勘三郎の門弟。明治8年東京守田座で4代喜代三郎を襲名。どの若女方役も評判がよく,重宝役者といわれた。明治10年10月19日死去。前名は中村いてふ。通称は喜代三。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android