明治・大正期の書家
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
幕末から明治の書家。名は隆経、字(あざな)は子達、梧竹と号した。肥前(佐賀県)鍋島(なべしま)藩士の出身。19歳で江戸に出て山内香雪(やまのうちこうせつ)および市河米庵(いちかわべいあん)に入門して書を学び、1882年(明治15)清(しん)国に渡航して北京(ペキン)の潘存(はんそん)に師事、84年に六朝(りくちょう)の碑拓本を数多く携行して帰国した。のち再度渡航したが、これらの留学が梧竹の学書法に著しい影響を及ぼしたことは明らかであり、明治の書壇には異色の斬新(ざんしん)な書風を展開させた。その書は、篆(てん)・隷・楷(かい)・行・草の各体に巧みであり、奔放闊達(かったつ)な筆致のなかに気宇雄大な趣(おもむき)があふれ、造型美を追究した梧竹流ともいうべき書風の確立がみられる。
[古谷 稔]
明治時代の書家。佐賀の人。名は彦四郎,のち隆経。字は子達。19歳のころから江戸に留学,山内香雪,市河米庵に書を学び,さらに後年2回清国にわたり,潘存より書法を受け,漢~六朝の碑帖を持ち帰った。各時代の書の精髄をとって自己の天分を盛りあげ,篆隷楷行草みな能く書いた。確かな造形性,気宇の大きい書風は特筆すべきである。《梧竹堂書話》の著がある。
執筆者:角井 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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