中林梧竹(読み)なかばやしごちく

精選版 日本国語大辞典 「中林梧竹」の意味・読み・例文・類語

なかばやし‐ごちく【中林梧竹】

  1. 幕末明治書家。名は隆経。通称彦四郎肥前佐賀の人。山内香雪市河米庵に書を学んだ後、中国に渡り、六朝古碑拓本を多くもたらし、当時の六朝書道の流行寄与。特に行草体にすぐれ、古雅書風は独特。文政一〇~大正二年(一八二七‐一九一三

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20世紀日本人名事典 「中林梧竹」の解説

中林 梧竹
ナカバヤシ ゴチク

明治・大正期の書家



生年
文政10年4月19日(1827年)

没年
大正2(1913)年8月4日

出生地
肥前国小城郡小城町新小路(佐賀県)

本名
中林 隆経(ナカバヤシ タカツネ)

別名
幼名=彦四郎,字=子達,別号=一個閑人,剣書閣主人

学歴〔年〕
藩校興譲館

経歴
幼少から書才に長け、若くして江戸に出て山内香雪に師事、のち市河米庵に入門。明治15年中国に渡り、潘存に師事、漢・魏・六朝の古碑、拓本を収集・研究し、各時代の書の精髄をとって新書風を成した。70歳代半ばで連綿草書を完成、80歳代で新境地を開拓、現代書道界に貢献。著書梧竹堂叢書」の脱稿半ばで死去した。平成11年郷里の佐賀県小城町の総合文化施設・桜城館内に中林梧竹記念館が開館した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中林梧竹」の意味・わかりやすい解説

中林梧竹
なかばやしごちく
(1827―1913)

幕末から明治の書家。名は隆経、字(あざな)は子達、梧竹と号した。肥前(佐賀県)鍋島(なべしま)藩士の出身。19歳で江戸に出て山内香雪(やまのうちこうせつ)および市河米庵(いちかわべいあん)に入門して書を学び、1882年(明治15)清(しん)国に渡航して北京(ペキン)の潘存(はんそん)に師事、84年に六朝(りくちょう)の碑拓本を数多く携行して帰国した。のち再度渡航したが、これらの留学が梧竹の学書法に著しい影響を及ぼしたことは明らかであり、明治の書壇には異色の斬新(ざんしん)な書風を展開させた。その書は、篆(てん)・隷・楷(かい)・行・草の各体に巧みであり、奔放闊達(かったつ)な筆致のなかに気宇雄大な趣(おもむき)があふれ、造型美を追究した梧竹流ともいうべき書風の確立がみられる。

[古谷 稔]

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改訂新版 世界大百科事典 「中林梧竹」の意味・わかりやすい解説

中林梧竹 (なかばやしごちく)
生没年:1827-1913(文政10-大正2)

明治時代の書家。佐賀の人。名は彦四郎,のち隆経。字は子達。19歳のころから江戸に留学,山内香雪,市河米庵に書を学び,さらに後年2回清国にわたり,潘存より書法を受け,漢~六朝の碑帖を持ち帰った。各時代の書の精髄をとって自己の天分を盛りあげ,篆隷楷行草みな能く書いた。確かな造形性,気宇の大きい書風は特筆すべきである。《梧竹堂書話》の著がある。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中林梧竹」の意味・わかりやすい解説

中林梧竹
なかばやしごちく

[生]文政10(1827).肥前
[没]1913.8.4. 佐賀
書家。名は彦四郎,隆経。字は子達,号は梧竹,剣書閣主人。鍋島家に仕え 19歳のとき藩の留学生として江戸へ行き,山内香雪に書を学んだ。 1882年中国に渡って北京の潘存 (はんそん) に師事,84年漢や六朝の古碑の拓本を数多くたずさえて帰国。東京に出て六朝風書道の研究,流布に没頭した。 97年再び中国に渡り,帰国ののち気宇壮大で高雅な書風を完成。主要作品『大篆書幅』と『良寛賛詩』 (1907) 。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中林梧竹」の解説

中林梧竹 なかばやし-ごちく

1827-1913 江戸後期-明治時代の書家。
文政10年4月19日生まれ。江戸にでて市河米庵(べいあん)の門人山内香雪にまなんだ。明治15年清(しん)(中国)にわたり潘存(はん-そん)にまなび,17年漢・魏(ぎ)・六朝(りくちょう)時代の碑の拓本をたずさえて帰国,明治書壇にあたらしい書風をひろめた。大正2年8月4日死去。87歳。肥前小城郡(佐賀県)出身。名は隆経。字(あざな)は子達。通称は彦四郎。別号に剣書閣主人。

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