軟体動物,節足動物の中腸に付随する腺状構造で,暗緑色から暗褐色を呈することが多い。消化酵素を分泌し,胃に送る。動物によって構造,機能ともかなりの差異があり,呼び方もさまざまである。軟体動物では肝臓とよばれ,消化酵素の分泌とともに,腺内,腺細胞内での食物の消化を行うものが多い。カキではグリコーゲンを貯蔵する。カタツムリなど有肺類では,さらに排泄物を貯蔵する細胞やカルシウムを含む細胞がみられる。イカ,タコなど頭足類では,肝臓と膵臓が区別され,消化酵素は胃盲囊に分泌され,ここで食物が消化される。節足動物のうちカニ,エビなど甲殻類では肝膵臓とよばれ,俗に“カニみそ”がこれにあたる。この仲間では中腸腺に4種の細胞が区別され,消化酵素を産生,分泌するほか,栄養分を摂取,消化したり,脂質,グリコーゲンを貯蔵する。昆虫の肝盲囊,フナクイムシ(二枚貝類)やクモの胃盲囊,シャミセンガイ(腕足動物)の中腸憩室も広義の中腸腺と考えられ,消化酵素の分泌,栄養分の吸収,貯蔵を行っている。
執筆者:町田 武生
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