主殿(読み)トノモリ

デジタル大辞泉 「主殿」の意味・読み・例文・類語

との‐もり【主殿/殿守】

主殿寮とのもりょうの下級役人。
宮中雑役や、蔵人くろうど拝賀のとき賜る湯づけの給仕をした女官

との‐も【主殿】

とのもり(主殿)」の略。
「―の女官御清めなどに参り果てて」〈・二七八〉

しゅ‐でん【主殿】

屋敷内中心となる建物御主殿
主殿寮とのもりょうの下級役人。とのもり。

ぬし‐どの【主殿】

[代]二人称人代名詞。同輩以下を敬っていう語。あなた
「いかに、―は拝み奉るや」〈宇治拾遺・八〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「主殿」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐でん【主殿】

〘名〙
屋敷の中の、もっとも主要な建物。具体的には寝殿表座敷客殿などにあたる。
義経記(室町中か)八「兼房は楯を後にあてて、しゅでんの垂木に取りつきて」
② 天皇即位儀式の時、香炉の火をつかさどる役。主殿寮の官人を充てることからいう。
※儀式(872)五「主殿、図書各二人以次東西、就爐焼香」
③ 主殿寮(しゅでんりょう・とのもりょう)②の下司。とのも。
④ 権勢ある貴人の家(日葡辞書(1603‐04))。

との‐もり【主殿】

〘名〙 (「殿守り」の意) =とのもりづかさ(主殿寮)
書紀(720)神武二年二月(熱田本訓)「其苗裔、即ち葛野主殿(トノモリ)の県主部是なり」

との‐も【主殿】

〘名〙 「とのもり(主殿)」の略。
※枕(10C終)二七八「とのもの女官御きよめなどにまゐりはてて、起きさせ給へるに」

ぬし‐どの【主殿】

〘代名〙 (「どの」は接尾語) 対称。「ぬし(主)(二)(二)①」をさらにていねいにいう語。
※宇治拾遺(1221頃)八「いかにぬし殿は拝み奉るやといひければ」

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