主殿寮(読み)トノモリョウ

デジタル大辞泉 「主殿寮」の意味・読み・例文・類語

とのも‐りょう〔‐レウ〕【主殿寮】

律令制で、宮内省に属し、宮中の清掃、灯燭とうしょく・薪炭など火に関すること、行幸時の乗り物、調度の帷帳などのことをつかさどった役所。とのもりのつかさ。とのもづかさ。とのもりりょう。しゅでんりょう。
しゅでんりょう(主殿寮)2

しゅでん‐りょう〔‐レウ〕【主殿寮】

とのもりょう(主殿寮)1
明治時代宮内省の一局で、宮殿の監守・警備の任に当たった役所。

とのもり‐の‐つかさ【主殿寮/主殿司】

(主殿寮)「とのもりょう1」に同じ。
主殿司)「とのもりづかさ1」に同じ。

とのも‐の‐つかさ【主殿寮】

とのもりょう1

とのもり‐りょう〔‐レウ〕【主殿寮】

とのもりょう

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精選版 日本国語大辞典 「主殿寮」の意味・読み・例文・類語

とのもり‐づかさ【主殿寮・殿司・主殿署】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 主殿寮 ) 令制の宮内省の被官である主殿寮(とのもりりょう)の官人。また、その役所。とのもづかさ。とのもり。とのも。
    1. [初出の実例]「煙の中よりにがみ出たるとのもりつかさの顔ども」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)三)
  3. ( 殿司 ) 令制で、後宮十二司の一つ。後宮の灯火、薪炭などをつかさどる女官たちの官司。尚殿(とのもりのかみ)一人、典殿(とのもりのすけ)二人、女孺六人で構成されていた。また、その女官。とのもづかさ。とのもり。とのも。
    1. [初出の実例]「とのもりつかさ女官などのゆきちがひたるこそをかしけれ」(出典:枕草子(10C終)三)
  4. ( 主殿署 ) 令制で、春宮坊に属し、湯浴・灯油・殿舎の清掃などをつかさどる官司。主殿首一人、主殿令史一人、殿掃部二〇人他の職員で構成されていた。また、その役人。とのもづかさ。とのもり。とのも。しゅでんしょ。

とのも‐りょう‥レウ【主殿寮】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とのもりりょう(主殿寮)
  3. 明治一九年(一八八六二月、宮内省に置かれた一部局。宮殿の清掃・舗設器具のことおよび宮門管鑰(かんやく)・防火警戒のことをつかさどる。京都出張所は、京都御所などの管理にあたった。大正一〇年(一九二一内匠寮に合併されたが、昭和二〇年(一九四五)再置、同二四年宮内庁管理部となった。

とのもり‐りょう‥レウ【主殿寮】

  1. 〘 名詞 〙 令制で宮内省に属し、輿・輦(たごし)などの行幸用具や宮中調度の帷帳に関すること、灯燭・薪炭・湯沐など火に関すること、および殿庭の清掃のことをつかさどった官司。頭・助・允・大少属の事務官と、実務にあたる殿部四〇人などの職員がいた。とのもりのつかさ。とのもりづかさ。とのもづかさ。とのものつかさ。とのもり。とのも。〔色葉字類抄(1177‐81)〕

とのも‐づかさ【主殿寮・殿司・主殿署】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「とのもりづかさ」の変化した語 ) =とのもりづかさ(主殿寮)
    1. [初出の実例]「つとめてとのもづかさの見るに、沓はとりて、奥に投げ入れてのぼりぬ」(出典:伊勢物語(10C前)六五)

しゅでん‐りょう‥レウ【主殿寮】

  1. 〘 名詞 〙とのもりょう(主殿寮)

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改訂新版 世界大百科事典 「主殿寮」の意味・わかりやすい解説

主殿寮 (とのもりょう)

令制の宮内省所属の官司。職員は頭(長官),助(次官),允(判官),大属・少属(主典)各1人,殿部(とのもり)(伴部)40人等。天皇の行幸の際の乗物(輿(こし))や蓋(きぬがさ)等の管理と供奉(ぐぶ),殿上の帷帳(とばり)の設営,天皇の湯殿への供奉,殿庭(内裏などの庭)の掃除,宮内の灯(油火)・燭(蠟火)・燎(庭火)の管理・設営,薪炭の調達をつかさどる。令制前から天皇の居所や行幸に供奉していた畿内の中小豪族を殿部として,唐の殿中省尚舎局,尚輦局などに模して組織化した官司で,掃部司(かにもりのつかさ),内掃部司,主水司(もいとりのつかさ)や後宮の殿司,掃司や春宮坊の主殿署と近接した職掌をもつ。殿部の負名氏(なおいのうじ)は日置(ひおき)/(へき),子部(こべ),車持(くるまもち),笠取(かさとり),鴨(かも)の5氏で,負名氏出身の主殿寮官人もいた。9世紀後半には負名氏以外からも殿部に任用されるようになった。令制前には,上毛野(かみつけぬ)氏の一族の車持氏は,天皇の乗物の挙行(くるまもち)に奉仕し,笠取氏は行幸の際の蓋の挙持に奉仕し,日置氏は灯燭等に奉仕した。鴨氏は山城の葛野(かどの)の県主(鴨県主)で,《下鴨系図》には舒明・皇極朝に久治良が〈殿寮〉に出仕したこと,主水司水部に多数出仕したことが記されている。鴨県主は,葛野の山地から薪炭や氷室の氷を貢納し,一族の者を殿部や水部の前身の伴(とも)として天皇に近侍させたのである。また,鴨氏と関係の深い葛野郡の秦(はた)氏は火炬(ひたき)の小子を貢進している。子部の伴造としての職掌は不明であるが,宮廷雑務に従った小児の管掌かとも考えられる。

 官司の統廃合に際しては,808年(大同3)に官奴司と896年(寛平8)に主油司が併合されたが,燃料油を扱ったり,宮内の雑務に従う職掌の類似による。《延喜式》によれば官奴司から引き継いだ今良(ごんろう)男女が367人配されている。同式によれば寮神の中には松山神3座,炭山神13座があるが,これらは松明や薪を採る松山,炭焼山を領有していたことを示している。主殿領寮の薪炭山は葛野郡の北部山地の北山(岩倉),大原山,小野,貴布禰などにあった。一方,888年(仁和4)には官田として山城国内に21町余が与えられた。官司の所在地は,平安宮では北面東門の達智門を入って東側の地であった。鎌倉初期以降,官務家小槻(おづき)氏が主殿頭を世襲した。同氏が知行した主殿寮領には,主殿寮敷地,薪炭山の小野山,小野荘,官田の山城国散在田畠,諸国例進の油・大粮米の便補保(びんぽのほ)の近江国押立保,安芸国入江保などがある。なお官司名和訓は《和名抄》に〈とのもりのつかさ〉とあり,これは殿守の官の意である。
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百科事典マイペディア 「主殿寮」の意味・わかりやすい解説

主殿寮【とのもりょう】

宮内省所属の令制官司。和訓は〈とのもりのつかさ〉。職掌は天皇の行幸(ぎょうこう)・湯殿の供奉,乗物などの管理,宮内の灯火・薪炭の調達,内裏の庭の掃除など。職員は頭(かみ)・助(すけ)・允(じょう)・大属(だいさかん)・少属各1人ほか。808年官奴(かんぬ)司,896年主油(しゅゆ)司を併合。鎌倉時代以降小槻(おづき)氏が頭を相伝。→大宝律令養老律令

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「主殿寮」の解説

主殿寮
とのもりょう

「とのもんりょう・しゅでんりょう」とも。令制の宮内省所管の官司。職員令では頭(従五位下相当)・助・允・大属・少属各1人と殿部(とのもりべ)40人・使部(しぶ)20人・直丁(じきちょう)2人・駆使丁(くしちょう)80人。輿・雨具などの管理や御湯舎の湯の調達,殿舎の庭の清掃,灯燭・松柴・炭燎(たんりょう)などをつかさどった。伴部の殿部は日置(へき)・子部(こべ)・車持(くるまもち)・笠取・鴨の負名氏(なおいのうじ)から採用。9世紀末以降に形成された主殿寮領は,鎌倉初頭以降は主殿頭を世襲した壬生官務(みぶかんむ)家の相伝となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「主殿寮」の意味・わかりやすい解説

主殿寮
とのもりょう

令制の官司。宮内省に属し,殿庭の掃除,湯沐,薪油などのことを司った役所。頭,助,允,大少属以下の役職があり,釜殿,湯屋があった。

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世界大百科事典(旧版)内の主殿寮の言及

【主殿寮】より

…令制前から天皇の居所や行幸に供奉していた畿内の中小豪族を殿部として,唐の殿中省尚舎局,尚輦局などに模して組織化した官司で,掃部司(かにもりのつかさ),内掃部司,主水司(もいとりのつかさ)や後宮の殿司,掃司や春宮坊の主殿署と近接した職掌をもつ。殿部の負名氏(なおいのうじ)は日置(ひおき∥へき),子部(こべ),車持(くるまもち),笠取(かさとり),鴨(かも)の5氏で,負名氏出身の主殿寮官人もいた。9世紀後半には負名氏以外からも殿部に任用されるようになった。…

※「主殿寮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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