乾燥によって長期間貯蔵したり,シイタケのように特有の風味をつけることを目的とした野菜。前者の目的の場合は,水または湯で戻したとき,生鮮時と同じようになる必要がある。野菜は収穫してからも生命活動を続けており,変質しやすい。そこで乾燥前にブランチング(湯どおし)という処理を行う。ブランチングは蒸気で蒸すか,熱湯に漬けることで,この処理により野菜中の酵素が破壊される。酵素による色や香りの変化を防いだり野菜のあくを除く作用があるが,同時に熱に弱いビタミン類は破壊されてしまう。ブランチング後,直ちに乾燥を行う。乾燥法には自然乾燥と人工乾燥がある。自然乾燥は天日を利用するものでコストが安く,特有の風味をつけることができる。人工乾燥には火力を用いるものと,真空乾燥法がある。後者では特に色や風味が良く保存され,水や湯で復元したときは生野菜と区別できないほどである。インスタント食品の生産量の増大とともに乾燥野菜の利用も増加している。乾燥した製品の水分は1~8%で吸湿しやすく,必ず防湿包装をしなければならない。製品としては干しダイコン(丸干し,切干し),乾燥イモ(生および煮切干し),干しシイタケ,かんぴょうなどが伝統的に作られており,インスタント食品の材料用としては,ネギ,タマネギ,キャベツ,ホウレンソウなどがある。
→乾燥食品
執筆者:田島 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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