大災害、テロ、感染症の流行、大規模停電やシステムトラブルなどの非常事態に際し、民間企業や行政機関などが中核業務を継続し、早期復旧するための経営管理手法。英語ではbusiness continuity managementといい、その略称のBCMでよばれることが多い。「事業継続経営」「事業継続マネジメント」などともいう。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの際、ニューヨークの事務所を破壊された金融大手メリルリンチ社が翌日から近くの事務所で業務を再開したことがBCMの好例とされている。
BCMでは、まず天災、事故、テロなどのリスクを洗い出し、それぞれの非常時に優先すべき業務や代替手段を選別し、サプライチェーン(調達・供給網)の正常化を含め、態勢の立て直し手順や目標時間を定めた事業継続計画(BCP)を策定する。次に事業継続計画を職員や従業員へ周知徹底し、訓練・演習を実施し、定期的に内容をチェックして不備の見直し、改善につなげる。この基本的な流れを繰り返し実施することで、非常時に備えるのがBCMである。日本では、中央省庁が2005年(平成17)ごろから各業界向けの事業継続ガイドラインを設けて導入を促しており、新型インフルエンザの流行や東日本大震災の発生などをきっかけに、BCMを重視する企業や行政機関が増えている。2011年には、日本政策投資銀行がBCMを重視した経営をしているかどうかで民間企業を格付けし、その格付けによって金利を優遇する金融商品「BCM格付融資」を開発し、企業の災害対策を後押しする成果をあげている。
BCMを効果的に、また能率よく運用するための仕組みをBCMシステム(BCMS)といい、2012年5月には、BCMSの国際規格「ISO22301」が発行され、企業や行政機関は、非常時の事業継続の仕組みがあるかどうかの認証を受けられるようになった。
[編集部]
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