二都物語(読み)ニトモノガタリ(その他表記)A Tale of Two Cities

デジタル大辞泉 「二都物語」の意味・読み・例文・類語

にとものがたり【二都物語】

原題A Tale of Two Citiesディケンズ長編小説。1859年刊。フランス革命ころパリロンドン舞台に、四人男女の複雑に変転する運命を描いた大作

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「二都物語」の意味・読み・例文・類語

にとものがたり【二都物語】

  1. ( 原題[英語] A Tale of Two Cities ) 長編小説。ディケンズ作。一八五九年刊行。フランス革命期のパリとロンドンを舞台に、無実の罪で一八年を獄中ですごす医師マネット、その娘のルーシーの夫で死刑宣告を受けるフランスの貴族ダーネー、および彼の身代わり断頭台にのぼる弁護士シドニー=カートンなどの運命の変転を描く。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「二都物語」の意味・わかりやすい解説

二都物語
にとものがたり
A Tale of Two Cities

イギリスの作家ディケンズの長編小説。1859年刊。カーライルの『フランス革命史』(1837)を読んで興味をかき立てられ、フランス革命を背景にして、二都、すなわちロンドンとパリを舞台に描いた歴史小説。医師マネットはあるフランス貴族の秘密を知ったため、18年間もバスチーユ牢獄(ろうごく)に入れられていたが、釈放後はロンドンに渡る。その娘ルーシーを愛するチャールズ・ダーニーは実はそのフランス貴族の甥(おい)だが、貴族制度を嫌ってイギリスにきていた。フランス革命が起こると、ダーニーは昔の忠僕を救いにフランスに戻り捕らえられて処刑されようとするが、ルーシーを愛するもう1人の青年シドニー・カートンは、ルーシーの嘆きをみて身代りに断頭台にのぼる。とくにはっきりした歴史観や政治的立場のもとに革命を描いたわけではなく、むしろ波瀾(はらん)に富んだプロットや、緊迫した二つの都市の情景に優れた点がある。

[小池 滋]

『中野好夫訳『二都物語』(新潮文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二都物語」の意味・わかりやすい解説

二都物語
にとものがたり
A Tale of Two Cities

イギリスの小説家 C.ディケンズの小説。 1859年刊。大革命期のパリとロンドンを舞台としたディケンズとしては異色の歴史小説。愛する女性の夫の身代りとなって断頭台に登るシドニー・カートンの自己犠牲を描く。パリの情景の描写には T.カーライルの『フランス革命史』が参考にされた。 90年 F.ウィルズによって劇化。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「二都物語」の解説

二都物語
にとものがたり
A Tale of Two Cities

イギリスの小説家ディケンズの長編歴史小説
1859年作。フランス革命時のパリとロンドンの2つの都市を舞台に描き,すぐれた叙景に富んだ作品。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

デジタル大辞泉プラス 「二都物語」の解説

二都物語

唐十郎の戯曲。1972年3月、戒厳令下にあった韓国・ソウル西江(ソガン)大学にて劇団状況劇場が初演。日本では同年4月、東京・上野の不忍池にて初演。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の二都物語の言及

【ディケンズ】より

…33年12月投稿した短編が雑誌に掲載されたことで自信をつけ,長編小説《ピックウィック・クラブ》(1837),《オリバー・トウィスト》(1838)で爆発的人気を得,一躍文壇にデビューした。 以後作家として順調なペースでつぎつぎに小説を発表,長編としては《骨董屋》(1841),《ドンビー父子》(1848),《デービッド・コパーフィールド》(1850),《荒涼館》(1853),《リトル・ドリット》(1857),《二都物語》(1859),《大いなる遺産》(1861),中編としては《クリスマス・キャロル》などが代表作として知られる。しかし,幼少のとき心に焼きつけられた貧乏の恐怖が,ベストセラー作家として豪邸に住むようになってからも消えなかったためか,中庸を保ってほどほどの仕事をし,精神的余裕のある人生を楽しむことができず,絶えず全力投球の仕事をしていないと不安にかられた。…

※「二都物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ドクターイエロー

《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...

ドクターイエローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android