イギリスの作家ディケンズの長編小説。1859年刊。カーライルの『フランス革命史』(1837)を読んで興味をかき立てられ、フランス革命を背景にして、二都、すなわちロンドンとパリを舞台に描いた歴史小説。医師マネットはあるフランス貴族の秘密を知ったため、18年間もバスチーユ牢獄(ろうごく)に入れられていたが、釈放後はロンドンに渡る。その娘ルーシーを愛するチャールズ・ダーニーは実はそのフランス貴族の甥(おい)だが、貴族制度を嫌ってイギリスにきていた。フランス革命が起こると、ダーニーは昔の忠僕を救いにフランスに戻り捕らえられて処刑されようとするが、ルーシーを愛するもう1人の青年シドニー・カートンは、ルーシーの嘆きをみて身代りに断頭台にのぼる。とくにはっきりした歴史観や政治的立場のもとに革命を描いたわけではなく、むしろ波瀾(はらん)に富んだプロットや、緊迫した二つの都市の情景に優れた点がある。
[小池 滋]
『中野好夫訳『二都物語』(新潮文庫)』
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…33年12月投稿した短編が雑誌に掲載されたことで自信をつけ,長編小説《ピックウィック・クラブ》(1837),《オリバー・トウィスト》(1838)で爆発的人気を得,一躍文壇にデビューした。 以後作家として順調なペースでつぎつぎに小説を発表,長編としては《骨董屋》(1841),《ドンビー父子》(1848),《デービッド・コパーフィールド》(1850),《荒涼館》(1853),《リトル・ドリット》(1857),《二都物語》(1859),《大いなる遺産》(1861),中編としては《クリスマス・キャロル》などが代表作として知られる。しかし,幼少のとき心に焼きつけられた貧乏の恐怖が,ベストセラー作家として豪邸に住むようになってからも消えなかったためか,中庸を保ってほどほどの仕事をし,精神的余裕のある人生を楽しむことができず,絶えず全力投球の仕事をしていないと不安にかられた。…
※「二都物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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