交替使(読み)コウタイシ

デジタル大辞泉 「交替使」の意味・読み・例文・類語

こうたい‐し〔カウタイ‐〕【交替使】

律令制下、地方官交替にあたって、前任者任地で死亡したりして新任者と事務引き継ぎができない場合、新任者の申請によって交替事務を処理するために派遣された臨時役人検交替使

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精選版 日本国語大辞典 「交替使」の意味・読み・例文・類語

こうたい‐しカウタイ‥【交替使】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、地方官が任所で死んで、後任者が事務引きつぎができない場合、その交替事務を処理するために中央政府から派遣された使。検交替使。
    1. [初出の実例]「又定仰上総・下総国交替使」(出典御堂関白記‐長和四年(1015)閏六月五日)

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改訂新版 世界大百科事典 「交替使」の意味・わかりやすい解説

交替使 (こうたいし)

検交替使ともいう。日本古代の律令国家国司の交替に際して在地へ派遣する使者。その人的構成は,交替使1人と主典1人からなる。この制度の成立時期は不明であるが遅くとも825年(天長2)以前にさかのぼる。交替使は,前任受領(ずりよう)が任地で死亡した場合に後任者の要請にもとづいて発遣される。通常国司交替にともなう事務引継ぎは前任者と後任者の間で行われ,その結果は解由(げゆ)状もしくは不与解由状によって太政官に上申するという手続を経るが,前任者死亡のため一方の当事者が存在しない場合には二つの交替方式が行われた。第1は,後任者が前任者の下僚との間で〈令任用分付実録帳〉を作成して事務を引き継ぐ方式である。第2は,後任者が交替使の派遣を太政官に申請し,交替使は前任者の在任中の国務状況を検察して,前任者の下僚との間で〈検交替使帳〉(交替帳交替実録帳などともいう)を作成し,前任者の任中の懈怠(けたい)をこれに列記した上で太政官に上申した。
交替式
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