検交替使ともいう。日本古代の律令国家が国司の交替に際して在地へ派遣する使者。その人的構成は,交替使1人と主典1人からなる。この制度の成立時期は不明であるが遅くとも825年(天長2)以前にさかのぼる。交替使は,前任の受領(ずりよう)が任地で死亡した場合に後任者の要請にもとづいて発遣される。通常国司交替にともなう事務引継ぎは前任者と後任者の間で行われ,その結果は解由(げゆ)状もしくは不与解由状によって太政官に上申するという手続を経るが,前任者死亡のため一方の当事者が存在しない場合には二つの交替方式が行われた。第1は,後任者が前任者の下僚との間で〈令任用分付実録帳〉を作成して事務を引き継ぐ方式である。第2は,後任者が交替使の派遣を太政官に申請し,交替使は前任者の在任中の国務状況を検察して,前任者の下僚との間で〈検交替使帳〉(交替帳,交替実録帳などともいう)を作成し,前任者の任中の懈怠(けたい)をこれに列記した上で太政官に上申した。
→交替式
執筆者:吉岡 真之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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