交流インピーダンス法(読み)コウリュウインピーダンスホウ

化学辞典 第2版 「交流インピーダンス法」の解説

交流インピーダンス法
コウリュウインピーダンスホウ
AC impedance method

微小振幅( ≦ 10 mV)で,1 mHz~100 kHz 程度の交流電圧電極系に印加することにより,電極反応速度電解質電気伝導率電気二重層容量などを測定する電気化学測定法.電極反応の解析にも広く利用されている.この方法の特徴は,広い周波数での交流応答を解析するので,電極-溶液界面で起こるさまざまな時定数をもつ諸現象を周波数領域で分離できることである.そのため,電気化学インピーダンススペクトロスコピー(electrochemical impedance spectroscopy)ともよばれる.この方法では,電極-溶液界面の諸現象を電気的な等価回路で置き換えて解析を行う.もっとも単純な等価回路は,電気化学反応抵抗(電荷移動抵抗)Rch と電気二重層容量 Cdl の並列回路に溶液抵抗 Rs直列に接続された回路である.そのときのインピーダンスZは次式で表される.

ZRsRch/(1 + j2πfRctCdl)

ここで,fは周波数,jは虚数単位である.この電極系に高周波( f→∞)電圧が印加された場合,右辺第2項が0となるため測定されるインピーダンスは Rs となる.また,低周波( f→0)の場合には,(RsRch)となる.すなわち,高周波から電解質の比抵抗(逆数比電気伝導率)が,また低周波と高周波のインピーダンスの差から電気化学反応の抵抗(逆数が反応速度の指標となる)が得られる.また,中間周波数領域から Cdl を決定できる.[別用語参照]ボード線図ナイキスト図

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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