人と超人(読み)ヒトトチョウジン(その他表記)Man and Superman

デジタル大辞泉 「人と超人」の意味・読み・例文・類語

ひととちょうじん〔ひととテウジン〕【人と超人】

原題Man and Supermanバーナード=ショー戯曲。4幕。1903年作。「哲学喜劇」という副題をもち、作者の「生命力」の哲学をテーマにした恋愛喜劇。

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精選版 日本国語大辞典 「人と超人」の意味・読み・例文・類語

ひととちょうじんひととテウジン【人と超人】

  1. ( 原題[英語] Man and Superman ) 戯曲。四幕。バーナード=ショー作。一九〇三年発表。一九〇五年初演。若い女主人公アンの、青年ジョン=タナーに対する恋愛を描き、女性こそ男性を追うものという主張を、作者の「生命力」の哲学に基づいて表わした喜劇。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「人と超人」の意味・わかりやすい解説

人と超人
ひととちょうじん
Man and Superman

イギリスの劇作家バーナード・ショーの四幕喜劇。1903年作。自由思想家で革命的な理論を弄(ろう)するジョン・タナーは、恋愛、結婚とは、女が男という獲物をねらうので、その背後には、宇宙の意志の「生命力」が働いているのだと述べたてるが、美女アンがねらっているのは彼の友人の詩人と思いきや、彼自身と聞かされ、驚いてスペイン山中まで逃げ出す。しかしついには捕まって結婚させられてしまう。第三幕「地獄ドン・ファン」の討論を含み、ショーの哲学を展開する長い劇だが、単なる思想劇でなく、みごとな台詞(せりふ)で現実を活写し、イギリス人、アイルランド人、アメリカ人の風俗の特色が書き分けられた優れた喜劇である。

[菅 泰男]

『喜志哲雄訳『人と超人』(『ショウ名作集』所収・1966・白水社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「人と超人」の意味・わかりやすい解説

人と超人 (ひととちょうじん)
Man and Superman

イギリスの劇作家G.B.ショーの哲学的喜劇。1903年完成。05年,作者の親友グランビル・バーカーの主演により初演。ただし並外れた長さのため,完全上演は15年が最初。ドン・フアン伝説をニーチェの超人思想や生命力の哲学によって解釈した皮肉な作品で,女嫌いを自称する社会主義者の青年が女に追いつめられて結婚を決意する物語が中心になっている。全4幕のうち,第3幕の大半はドン・フアンなど4人の人物が哲学的議論を戦わせる〈地獄のドン・フアンDon Juan in Hell〉というプラトン風対話の場面によって占められている(この部分のみ切り離して1907年初演)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人と超人」の意味・わかりやすい解説

人と超人
ひととちょうじん
Man and Superman

イギリスの戯曲。4幕。 G.B.ショー作。 1901~03年執筆。 05年5月 23日ロンドンのコート劇場でステージ・ソサエティが初演。若い娘アンに追いつめられて結婚することになる社会思想家ジャック・タナーを中心に,男女関係や政治,宗教,芸術などの問題が論じられる思想劇。

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世界大百科事典(旧版)内の人と超人の言及

【ショー】より

…以下初演)である。それ以後,ヒロイズムを風刺した《悪魔の弟子》(1897),売春問題を扱った《ウォレン夫人の職業》(1902),生命力の哲学を具体化させた《人と超人》(1905),英雄を茶化した《シーザーとクレオパトラ》(1906),ジャンヌ・ダルクを主人公にした《聖ジョーン》(1923)のほか,おびただしい数の戯曲を発表した。音声学者が花売り娘に上流階級の言葉づかい,礼儀作法を教えこんでレディに仕立てる《ピグマリオン》(1913)は,のちにアメリカで,ブロードウェーでのミュージカル・ドラマ化を経て,《マイ・フェア・レディ》(1964,G.キューカー監督,アカデミー作品賞ほかを受賞)として映画化された。…

※「人と超人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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