イギリスの劇作家バーナード・ショーの四幕喜劇。1903年作。自由思想家で革命的な理論を弄(ろう)するジョン・タナーは、恋愛、結婚とは、女が男という獲物をねらうので、その背後には、宇宙の意志の「生命力」が働いているのだと述べたてるが、美女アンがねらっているのは彼の友人の詩人と思いきや、彼自身と聞かされ、驚いてスペインの山中まで逃げ出す。しかしついには捕まって結婚させられてしまう。第三幕「地獄のドン・ファン」の討論を含み、ショーの哲学を展開する長い劇だが、単なる思想劇でなく、みごとな台詞(せりふ)で現実を活写し、イギリス人、アイルランド人、アメリカ人の風俗の特色が書き分けられた優れた喜劇である。
[菅 泰男]
『喜志哲雄訳『人と超人』(『ショウ名作集』所収・1966・白水社)』
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…以下初演)である。それ以後,ヒロイズムを風刺した《悪魔の弟子》(1897),売春問題を扱った《ウォレン夫人の職業》(1902),生命力の哲学を具体化させた《人と超人》(1905),英雄を茶化した《シーザーとクレオパトラ》(1906),ジャンヌ・ダルクを主人公にした《聖ジョーン》(1923)のほか,おびただしい数の戯曲を発表した。音声学者が花売り娘に上流階級の言葉づかい,礼儀作法を教えこんでレディに仕立てる《ピグマリオン》(1913)は,のちにアメリカで,ブロードウェーでのミュージカル・ドラマ化を経て,《マイ・フェア・レディ》(1964,G.キューカー監督,アカデミー作品賞ほかを受賞)として映画化された。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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