人主（読み）ヒトヌシ

デジタル大辞泉

ひと‐ぬし【人主】

１ 江戸時代、請人うけにんと並んで奉公人の身元を保証した人。ふつう、奉公人の父兄・親類がなった。
２ 主君。殿様。
「―のなし給ふ事は、故事となるとも申し伝へ侍り」〈折たく柴の記・中〉

じん‐しゅ【人主】

人君。君主。きみ。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ひと‐ぬし【人主】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 人君。きみ。君主。
   1. [初出の実例]「かの荘宗の事は、後の人主の鑑させ給ふべき御事にこそ侍れ」(出典：随筆・折たく柴の記（1716頃）中)
3. ② 諸侯。大名。殿様。
   1. [初出の実例]「人主たるは幼少より学文を第一とすべし」(出典：燕居偶筆（1734頃）上)
4. ③ 江戸時代の保証人の一種。請人(うけにん)と並んで奉公契約を担保とするとともに、請人に対し奉公人保証の義務を負ったもの。普通奉公人の父兄・親類がなった。人主は第二次的な保証人で、請人が弁済し、なお不足のとき、または請人が死去あるいは逃亡したとき保証に応じた。
   1. [初出の実例]「人請に立候者慥成人主并下請人を撰」(出典：御触書寛保集成‐四〇・寛文五年（1665）一〇月)
5. ④ 江戸時代、庄内藩で、他村からの入百姓の身元を保証したもの。人主が庄屋、代官を経て領主に願いでてその許可を得た。

じん‐しゅ【人主】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 人君。君主。きみ。
   1. [初出の実例]「天下蒼生、上及人主、莫_レ不_二望_レ塵頂礼_一、奔集如_レ市」(出典：行基大僧正墓誌（高瀬氏蔵）‐天平二一年（749）三月二三日)
   2. [その他の文献]〔史記‐封禅書〕
3. ② ⇒ひとぬし（人主）

ひと‐しゅう【人主】

1. 〘 名詞 〙 人を使う身分の人。主人。主。
   1. [初出の実例]「人しうにはなりたい物でござる」(出典：狂言記・福渡（1660）)

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【人主】じんしゆ

人君。

字通「人」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」