管理職,専門職,技術職経験者の求人・求職をおもな対象として扱う,国が設置した職業紹介機関。つまり公共職業安定所の組織の一部であり,いわば専門職業安定所である。人材銀行は1966年9月,東京の渋谷公共職業安定所の中に試行的に設置されたのが始まりで,67年から国が正式に予算措置をすることになり,職安以外の施設を借りて発足した。全国25の都道府県の主要都市に設置されている(1984年末現在)。普通の職安とは異なり,管轄区域を決めてないので,求人・求職ともどこでも自由に利用できる。また個々の求人・求職の情報が公開されているので,自由にそれを閲覧し,自主的に求人者や求職者を選択できるような紹介方式も行っている。もちろん,職安と同様に専門官や相談員が配置されており,相談をすることもできる。ただし雇用保険や各種就職援護措置の業務は取り扱っていない。なお〈人材銀行〉は本来国が設置したもののみにつけた名称であったが,最近では国以外の者が労働大臣の許可を受けて行う民営職業紹介事業についても人材銀行と呼ぶこともある。
執筆者:久保村 日出男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
おおむね40歳以上の管理的職業、専門的職業および技術的職業などの経験者を対象に、無料で専門的な職業紹介を行う公共の機関をいう。企業の求める人材の確保と、求職者のキャリアを生かせる職場の確保を目的に設けられている。組織上は、公共職業安定所(ハローワーク)の内部組織である。1966年(昭和41)9月、渋谷公共職業安定所で試みられ、その後、名古屋、大阪における設置を経て、もっとも多いときには26の都市で開設され(1998)、2009年(平成21)9月現在では札幌、埼玉、千葉、東京、神奈川、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、福岡の12室が開設されている。このうち東京と神奈川、福岡の3室は、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」に基づいて公設民営方式により運営され、他の9室は、国が直接に実施している。求人と求職の登録は、最長6か月である。求人者と求職者の希望によって更新されることも可能である。就職率は、東京と神奈川、福岡の3室平均で8.7%、他の9室平均で15.8%である(2007年度)。
[三富紀敬]
出典 (株)アクティブアンドカンパニー人材マネジメント用語集について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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