日本大百科全書(ニッポニカ) 「人的資源会計」の意味・わかりやすい解説
人的資源会計
じんてきしげんかいけい
human resource accounting
企業の内部的資源である人的資源に関する会計。企業の資源を内部的資源と外部的資源に分け、前者についてさらに現金預金や金銭債権、有価証券のような貨幣性資産を意味する財務的資源、棚卸資産や有形固定資産などの物的資源、経営情報や会計情報、技術情報などの情報資源、そして、人的資源に分ける。人的資源は、個人と組織に分類される。先の諸資源が有効に利用されるか否かはこの人的資源によることとなる。このような人的資源に係る会計を人的資源会計という。
この領域の研究は、アメリカのミシガン大学のリッカートRensis Likert、ブラメットRichard Lee Brummet、パイルWilliam C. Pyle、フラムホルツEric G. Flamholtzの4人による研究グループによりスタートした。その目的は、(1)基本的な経営管理情報におけるヒューマンリソースにかかわる情報の必要性を思考する観点での人的資源会計のシステムの開発、(2)人的資源会計情報の経営管理における応用的開発、(3)人的資源会計の個々の従業員およびその所属する企業に及ぼす行動科学的影響に関する分析であるとしている。そして、人的資源会計では、人的資源に関する情報を識別し、測定し、伝達することを課題とする。
[近田典行]
『若杉明著『人的資源会計論』(1973・森山書店)』▽『若杉明著『人間資産会計』(1979・ビジネス教育出版社)』