人相書(読み)ニンソウガキ

デジタル大辞泉 「人相書」の意味・読み・例文・類語

にんそう‐がき〔ニンサウ‐〕【人相書(き)】

犯罪者行方不明者を捜すために、その顔つきの特徴などをかいて配布するもの。

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精選版 日本国語大辞典 「人相書」の意味・読み・例文・類語

にんそう‐がきニンサウ‥【人相書】

  1. 〘 名詞 〙 犯罪者、行方不明者、身元不明者などを捜すため、その人の顔つきの特徴を書いて配布するもの。
    1. [初出の実例]「両人の人相書を以て御尋ねの御触れこれ有り」(出典:正宝事録‐延宝五年(1677)一〇月一六日)

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改訂新版 世界大百科事典 「人相書」の意味・わかりやすい解説

人相書 (にんそうがき)

逃走中の犯罪者などを捜索するため,人相その他,当該人物の特徴を書き記して,諸方面に配布するもの。江戸時代の人相書は,公儀に対する重き謀計,主殺(しゆうごろし),親殺関所破などの犯人追及((たずね))に用いられ,幕府から触(ふれ)の形式で全国に公布された。顔つきの特徴はもとより,名まえ,生国,年齢,逃亡時の衣服・所持品,身体的特徴,言語ないし発声の特徴も掲げ,記述は簡単であったが,当時の閉鎖的社会においてはある程度の効果があった。今日の警察も犯罪捜査の手段として利用している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「人相書」の意味・わかりやすい解説

人相書
にんそうがき

犯罪者などを捜索、逮捕するために、その人の人相の特徴を記して配布するもの。人相書の制度は、江戸時代の初めごろからあったものと思われるが、制度が整ったのは、1742年(寛保2)制定の公事方御定書(くじかたおさだめがき)によってであり、その下巻第81条には、人相書の出される犯罪として、「公儀へ対し候重き謀計」「主殺」「親殺」および「関所破」の四罪を定めている。「公儀へ対し候重き謀計」というのは、広い意味において、幕府に対する反逆行為を意味するものと考えられる。「主殺」というのは、庶民の家の奉公人主人を殺すことである。御定書制定後、元の主人を殺した者や、主人や親に手負わせて行方不明になった者にも、人相書で捜査を命じることになり、また主人の妻または息子に手負わせた者もこれに準じられた。このように、人相書は特定重罪人に対してだけ出されたので、人相書でお尋ね者と知りながらかくまったり、また召使いにして訴え出なかった者は、獄門重刑に処せられた。

石井良助

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