(読み)ジン

デジタル大辞泉 「尋」の意味・読み・例文・類語

じん【尋】[漢字項目]

常用漢字] [音]ジン(呉) [訓]たずねる ひろ
長さの単位。両手を広げた長さ。ひろ。「千尋
普通。なみ。「尋常
探り求める。訪れる。「尋訪
(「」の代用字)問いたずねる。「尋問審尋
[名のり]ちか・つね・のり・ひつ・ひろし・みつ
[難読]め行く

じん【尋】

長さや深さの単位。古代中国では8尺。日本では「ひろ」とも呼び、6尺または5尺とされる。→ひろ

ひろ【尋】

日本の慣習的な長さの単位。両手を左右に伸ばしたときの、指先から指先までの長さを基準にし、1尋は5尺すなわち約1.515メートル、ないし6尺すなわち約1.816メートル。縄・釣り糸の長さや水深に用い、水深の場合は6尺とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「尋」の意味・読み・例文・類語

ひろ【尋】

  1. 〘 名詞 〙 長さの単位。成人男子が両手を左右へ広げた時の、指先から指先までの長さ。慣習的に用いられた単位で、長さは一定しないが、曲尺でだいたい四尺五寸(約一・三六メートル)ないし六尺(約一・八メートル)くらい。布・縄・釣り糸の長さ、また海の水深などを表現するのに用いられる。水深については、明治五年(一八七二太政官布告で、一尋は曲尺六尺と定められた。
    1. [初出の実例]「下臣の墓は〈略〉其外の域は方五尋、高さ二尋(ヒロ)(なか)」(出典:日本書紀(720)大化二年三月(北野本訓))

尋の補助注記

( 1 )「尋」字は、「説文」に「」について「度人之両臂為八尺也」とある。
( 2 )記紀には「八尋殿(やひろどの)」「千尋栲縄(ちひろのたくなは)」の例がある。


じん【尋】

  1. 〘 名詞 〙 長さの単位。古代中国では八尺(約一・八メートル)。日本では、「ひろ」とよんで、六尺を意味する。
    1. [初出の実例]「使与極細布六尋了」(出典:参天台五台山記(1072‐73)一)
    2. [その他の文献]〔詩経‐魯頌・閟宮〕

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普及版 字通 「尋」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)
12画

(異体字)
15画

[字音] ジン
[字訓] たずねる・つぐ・ひろ

[説文解字]

[字形] 会意
右+左。左は左手に呪具の工、右は右手に祝告の器である(さい)をもつ形。神に祈り、神の所在を尋ねるときに、左右に呪器・祝告をもって問う。〔説文〕三下に字をに作り、「繹(たづ)ね理(をさ)むるなり。工口に從ひ、(いう)寸に從ふ。工口は亂なり。寸は之れをち理むるなり。彡(さん)聲。此れ(じやう)(襄)と同なり」というが、すべて字形の解釈を誤り、字もまた彡声ではない。襄(じよう)は、死者の衣襟のうちに、呪具としての工・口を塡塞して、邪霊が屍体に憑(よ)りつくのを禳(はら)う意で、その用いる呪具は同じであるが、字の立意が異なる。神は定処なく、ときにはその祭るべきところを尋ねることがあり、〔礼記、郊特牲〕に「彼に於てせんか、此(ここ)に於てせんか」と所在を求める儀礼があって、(ほう)という。漢碑に字をみなに作り、に作るものはない。左右に手を開くを尋といい、一ひろの長さである。尋は左右の手を重ねる形であるから、「尋(かさ)ぬ」「尋(つ)ぐ」「尋(あたた)む」のような用義がある。

[訓義]
1. たずねる、神の所在をたずねる。
2. さぐる、ききただす、ものをとう。
3. かんがえる、すじみちを考える。
4. かさねる、つぐ、いたる。
5. と通じ、あたためる。
6. ひろ、ながい、ふかい、たかい。
7. つねの、なみの。
8. ついで、まもなく。

[古辞書の訓]
名義抄 タヅヌ・ツイデ・ツネニ・モチヰル・オフ・スナハチ・ヒロ・アタツ・タチマチ/常 トコトハ・イナバナ・ヨノツネ 〔字鏡集〕 モチヰル・シタガフ・ヤハラカ・コトハル・ヒロ・カサナル・ツグ・タヅヌ・スナハチ・ヲフ・ツネニ・タチマチ・ツイテ・アタツ・ツイヅ

[声系]
〔説文〕に声としてなど四字を収める。十一上は「旁深なり」、八上は「衣、大なり」とあって、ともに深大の意がある。

[語系]
zimは同声。にかさねる意があり、覃にはうちにこめる意がある。は酒などを温めること、は火熱を加えることをいう。

[熟語]
尋案・尋引尋繹・尋花尋壑尋玩尋究尋景尋検尋査尋索・尋察・尋思・尋詩・尋時・尋春・尋勝尋誦尋蹤・尋常・尋丈尋趁尋討・尋念・尋芳・尋味・尋味・尋夢尋盟尋幽・尋来
[下接語]
温尋・究尋・窮尋・研尋・考尋・思尋・詳尋・侵尋・深尋・斟尋・推尋・精尋・千尋・探尋・直尋・追尋・攀尋・万尋・百尋・訪尋・幽尋

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改訂新版 世界大百科事典 「尋」の意味・わかりやすい解説

尋 (たずね)

江戸時代,犯罪や貧困などの原因で逃亡・失踪(欠落(かけおち))した者のゆくえを捜索すること。親族および町村役人に捜索義務が課されるが,被捜索者(欠落人,御尋者(おたずねもの))と主従・親族・師弟関係で目下にあたる者には申し付けなかった。はじめは期限を定めて捜索する〈日限尋(ひぎりたずね)〉が命ぜられるが,捜索期間は180日を限度とするのが一般的で,これを30日ずつなどに細分することが行われた。日限尋の期間内に尋ね出せないときは,捜索義務者に過料,急度叱(きつとしかり)などの軽い刑を科して,〈永尋(ながたずね)〉を申し付ける。これは形式的には無期限の捜索命令であるが,事実上捜索義務が免除されたに近い結果となった(《柳多留》所収の川柳に〈うんのよさとうとう二人なが尋〉)。以上の親族,町村役人による尋は,犯罪人ないし容疑者の捜索方法としてはそれほど効果が期待できず,職権的探索も当然並行して行われた。また特定の重大な犯罪にかかわる場合には,〈人相書(にんそうがき)〉による尋が実施された。
執筆者:


尋 (ひろ)

日本における長さの慣用単位。両手を左右に広げたときの長さに由来し,縄などの長さや水深を表すのに用いられ,1872年(明治5)の太政官布告により,1ひろは曲尺(かねじやく)の6尺と定められた。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尋」の意味・わかりやすい解説


ひろ

日本の古い慣習的な長さの単位。両手を広げた大きさをもとにしている。語源は、縄のようなものを両手で「ひとひろげ」「ふたひろげ」と測ったことによる。「八尋殿(やひろどの)」「千尋縄(ちひろのなわ)」などと使われている。日本固有の単位だが、表記の尋の字は中国の古典『説文』に「度人之両臂為尋八尺也」とあるのによっている。しかし、中国では周以後、制度上使っていない。日本では丈、尺、寸の制度を採用したのちも引き続いて使用され、大化の「薄葬令」の墓の外部寸法も尋で表されている。尋はもっぱら海で用いられていたので、1872年(明治5)太政官(だじょうかん)布告で六尺(約1.818メートル)と定め、陸上の間(けん)と統一した。

[小泉袈裟勝]

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単位名がわかる辞典 「尋」の解説

ひろ【尋】

日本の慣習的な長さの単位。尺貫法では、1尋は曲尺(かねじゃく)の6尺、約1.8m。また、水深の単位としても用いられる。魚網など水産関係では、1尋は曲尺の5尺、約1.5m。◇両手を左右にまっすぐ広げたときの指先から指先までの長さを意味した。

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百科事典マイペディア 「尋」の意味・わかりやすい解説

尋【ひろ】

日本の長さの慣用単位。両手を左右にのばした長さに由来。曲尺(かねじゃく)の6尺(1.8182m)。縄の長さや水深を表すのに用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【尺貫法】より

…そのため経済・文化の近代化,国際化に適合しにくく,1958年12月末日をもって原則として廃止され,取引,証明に使える法定単位ではなくなった。 古代の日本で使われていた単位としては,記紀などに〈ひろ(尋)〉〈あた(咫)〉〈つか(握)〉などが見られるが,尺貫法の祖型は古代中国の度量衡制に求められ,一部に古代朝鮮の高麗法の影響があるといわれている。日本で度量衡制度が成立した時期は定かでないが,《扶桑略記》(1094∥嘉保1ころ)に〈舒明天皇12年(640),始定斗升斤両〉とあり,《続日本紀》(797∥延暦16)に〈大宝2年(702),始頒度量于天下諸国〉とあるところから見て,標準供給を伴う度量衡単位系の制定をみたのは7,8世紀のこととされており,701年制定の大宝令による度量衡の単位は,《令義解》などによれば,ほぼ表2のごときものであったという。…

※「尋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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