日本歴史地名大系 「今帰仁グスク」の解説
今帰仁グスク
なきじんぐすく
〔遺構〕
グスクは大型グスクで、海に面した
一九八〇年(昭和五五年)からの史跡整備事業に伴って志慶真門郭と主郭の発掘調査が行われた。城内で最も東に位置する志慶真門郭は平場を造成した様子がうかがわれ、円形の炉がある平面方形の住居跡や、主郭まで続く石段、石畳道を検出し、家臣の屋敷跡であったと推定される。一三世紀後半―一六世紀の遺物が出土し、人工遺物の八〇パーセント以上が青磁・白磁・元様式の染付(青花)などの中国製陶磁器で、ほかには朝鮮・日本・タイやベトナム産などの陶磁器・勾玉などがある。炭化米・麦などの食物残滓もみられる。主郭では大きく四時期の遺構が確認された。第一期は土留石積みに版築の技法がみられるが、これは沖縄で初めて確認された版築で丁寧な造りとなっている。その上に掘立柱建物を建てて柵が巡らされており、一三世紀末―一四世紀初頭と考えられている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報