日本大百科全書(ニッポニカ) 「山北」の意味・わかりやすい解説
山北(町)
やまきた
神奈川県西部、足柄上郡(あしがらかみぐん)にある町。1933年(昭和8)町制施行。1955年(昭和30)三保(みほ)、清水、共和の3村と合併。JR御殿場線(ごてんばせん)、国道246号が通じる。開通当初(1889~1934)の東海道線は現御殿場線を通ったため、当地には山北駅や機関庫が設けられて鉄道の町として栄えた。幹線交通路に近い町域南部の丘陵一帯はミカン園が開けている。河内(かわうち)川の下流や共和地区では深い霧を利用して足柄茶を栽培する。1978年には河内川上流に三保(みほ)ダムが完成、人造湖の丹沢湖が出現した。北部から西部にかけての丹沢(たんざわ)山地や足柄山地は、相模(さがみ)国(神奈川県)と甲斐(かい)(山梨県)、駿河(するが)(静岡県)2国との境界山地をなし、これらから流出する河内川支流の中川、世附(よづく)川などの谷々は、これら3国を連絡する要路をなしていた。また、これに東から流入する玄倉(くろくら)川をあわせた3川の両岸やそれに続く山地の一帯は自然景観がよく保存されて西丹沢とよばれ、丹沢大山国定公園(たんざわおおやまこくていこうえん)、県立自然公園に指定され、県民の森もある。北西部には東海自然歩道が通じ、中川沿いに中川温泉が湧出(ゆうしゅつ)する。箒沢(ほうきざわ)の箒スギは国指定天然記念物、共和地区の風流行事である山北のお峰入りは国指定重要無形民俗文化財である。南の平(ひら)山の洒水(しゃすい)の滝は、古くから行場(ぎょうば)として知られる。面積224.61平方キロメートル、人口9761(2020)。
[浅香幸雄]
『『山北町史』全7冊(2000~2004・山北町)』
山北
さんぽく
新潟県北端、岩船郡(いわふねぐん)にあった旧町名(山北町(まち))。現在は村上市(むらかみし)の北部を占める地域。1955年(昭和30)蒲萄(ぶどう)海岸の下海府(しもかいふ)、黒川俣(くろかわまた)、八幡(やはた)と、県北の中俣(なかまた)、大川谷(おおかわだに)の5村が合併して郷名をとって山北村となり、1965年町制施行。2008年(平成20)村上市に合併。JR羽越本線(うえつほんせん)、国道7号、345号が通じる。旧町域の90%は山地で占められ、山北杉が名産。海岸通りは「笹川流れ(ささがわながれ)」とよばれる景勝地で、羽越本線からの車窓の眺めがすばらしい。海府浦海岸は県下有数の漁村で、テングサ、アワビをとる海女(あま)集落も残る。日本海パークライン(国道345号)とよばれる自動車道が開通し、観光地にかわっている。勝木(がつぎ)の筥堅八幡宮社叢(はこがたはちまんぐうしゃそう)は国指定天然記念物。海水浴場も多い。
[山崎久雄]
『『山北村郷土史』(1965・山北村)』