法律行為(たとえば,賃貸借契約)または行政行為(たとえば道路占用許可)によって生ずべき効果を制限するために,当事者(行政行為の場合には行政庁)によってとくに付加された定め。条件,期限などがその内容をなす。〈条件〉とは,行為の効果発生または消滅が,将来生起するかどうかが不確実な事実の生起にかからしめられる場合であり(会社の成立を条件として河川の使用を許可する場合などがその例),〈期限〉とは,それが,一定の期日の到来その他,将来生起することの確実な事実の到来にかからしめられる場合である(〈何月何日から道路の使用を許可する〉という場合などがその例)。行政行為の場合には,行政庁による撤回の可能性を留保するいわゆる撤回権の留保(取消権の留保ともいう)や,法令の定める効果についての一部除外なども,付款の内容たりうる。
以上のほか,たとえば負担付贈与の場合や,営業許可に伴って遵守事項が指示される場合のように,法律行為または行政行為の本体に付加して相手方に一定の義務を課する定めがなされる場合,これを〈負担〉と呼び,上述の定義には必ずしもあてはまらないがやはり付款の一種として扱うのが通例である。私人の法律行為に関しては,付款を付するかどうかは原則として当事者の自由であるが,行政行為の場合には,行政庁は,法令が許容する限度においてしか付款を付しえないものとされる。
執筆者:小早川 光郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… なお,以上のような各種の行政行為につき,行政庁がそれを撤回したり取り消したりする行為(後述)および,関係者から一定の行政行為を求める申請ができるとされている場合に,行政庁がそのような申請を拒否する行為も,行政行為である。
[行政行為の効果の発生,消滅と付款]
行政行為は,行政庁によって決定され,かつ,対外的に表示されることにより,その効果を生ずる。行政庁が,いったん行政行為を行ったのちに,新たな事由が生じたことを理由としてその効果を消滅させることを,〈行政行為の撤回〉という。…
…たとえば,(1)〈A大学に入学すれば〉時計を与える,(2)〈成績が下がれば〉奨学金の給付を打ち切る,というように,法律行為の効力の発生・消滅を,将来の成否不確定な事実にかからせる,という内容の意思表示を条件という。条件は,〈期限〉および贈与の際につけられる〈負担〉とともに,付款とよばれる。付款は,法律行為と一体をなし,その内容に一定の制限を加えるものである。…
※「付款」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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