占有者が、自ら物を所持する占有を自己占有というが、占有は代理人によっても成立する(民法181条)。たとえば、家屋の所有者Aが、Bと賃貸借契約を締結し、Bを当該家屋に居住させることにより、Aも占有を取得することとなり、このAの占有を代理占有という。この占有が認められる理由は、物(前記の例では家屋)が占有代理人(直接所持している者、前記の例では賃借人)の事実的支配に属すると認められると同時に、社会観念上本人(前記の例では賃貸人)の事実的支配にも属するものと認められ、しかも、前者の事実的支配は、後者のそれに由来するものと考えられる場合には、本人にも占有による保護を付与する必要があるからである。なお、占有は、事実的な支配関係であって意思表示の効果ではないので、代理占有の用語は適切ではないとして、自己占有・代理占有の用語にかえて、直接占有・間接占有の用語が用いられることも少なくない。
[竹内俊雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…例えば所有者AがBに物を賃貸して引き渡したときは,AはBを通して占有している。この場合,Aは代理人Bによって占有しているといったり(この関係を代理占有とよんでいる),Bが直接占有,Aが間接占有をしているといったりする。AもBも占有者であり,占有権を有している。…
※「代理占有」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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