企業統計(読み)きぎょうとうけい

改訂新版 世界大百科事典 「企業統計」の意味・わかりやすい解説

企業統計 (きぎょうとうけい)

企業統計は,経済活動の基本主体である企業に着目してこれを統計的に把握するものであり,広い意味では産業別の統計も含まれるが,普通は,(1)企業の特性(企業数,従業者数,経営組織)等の企業構造面からみたもの,(2)財務諸表等の利用により企業経営面からみたもの,(3)設備投資等の企業行動面からみたもの,などである。

 (1)に関するものとして総理府の〈事業所統計〉がある。日本の全産業の事業所を対象とし,業種別,地域別,規模別等に事業所数,従業者数等を明らかにしている。1947年に開始され,3年に1度実施されている。この統計は,産業構造の把握のほか,各種統計調査のフレームとして使用されている。なお,事業所ベースの調査であるので企業ベースとは若干異なっている。(2)に関する統計は数が非常に多いが,代表的なものは大蔵省の〈法人企業統計〉である。金融・保険を除く法人企業について標本調査により資産負債資本,損益の状況を調査している。これには企業の決算を集計した年報と四半期ごとに仮決算を集計した季報がある。対象企業は中小企業も含めて広範であり,日本経済の実態を企業経営面から的確につかむための資料として幅広く利用されている。ほかに日本銀行の主要企業経営分析は,日本の主要企業(原則として資本金10億円以上の一部上場会社)に対して経営状況を調査し,年2回集計,分析して公表している。また国税庁も〈税務統計からみた法人企業の実態〉を毎年公表している。(3)に関するものとしては経済企画庁が〈法人企業投資動向調査〉を発表している。景気動向に影響の大きい民間設備投資の動向を迅速につかむため,四半期ごとに資本金1億円以上の法人企業に対し売上高,設備投資,在庫評価額等についてそれぞれ実績と見通しを調査するものである。このほか民間機関(帝国データバンク東京商工リサーチ)が行っている企業倒産統計もこの範疇(はんちゆう)に入る統計である。
経済統計
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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