会寧(読み)カイネイ(その他表記)Hoeryǒng

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改訂新版 世界大百科事典 「会寧」の意味・わかりやすい解説

会寧 (かいねい)
Hoeryǒng

朝鮮民主主義人民共和国咸鏡北道北部の郡。郡の大半は南部をさえぎる咸鏡山脈の1000m級の尾根から豆満江へいたる緩斜面の山林地帯となっているが,豆満江に沿って比較的広い会寧盆地がみられる。この盆地を中心とする一帯は,李朝時代初期まで女真族の居住地であり,これを制圧した李王朝は北辺六鎮の一つとして会寧鎮を置いた。その後も豆満江北方諸族との交流が続けられ,会寧は国境の交易市として発達した。李朝末以降は対岸間島地方へ移住する朝鮮人が増加した。近代に入って,山岳地帯の豊富な山林資源,朝鮮では数少ない褐炭炭田,石灰石,高嶺土などの鉱山が開発され,日本海沿岸の清津等の工業地帯へ原料として供給されている。中心地の会寧邑には,海岸地方からさらに奥地の穏城や慶源へ向かう咸鏡線の中間主要駅があり,豆満江国際鉄橋をわたって中国の間島地方へ至る接点となっているほか,家具やパルプ工業が発達している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「会寧」の意味・わかりやすい解説

会寧
かいねい / フェリョン

北朝鮮、咸鏡北道(かんきょうほくどう/ハムギョンプクド)北部の会寧郡にある邑(ゆう)(町)。郡の所在地。李(り)朝時代の六鎮(りくちん)の一つで城壁が残っている。豆満江(とまんこう/トマンカン)を隔てて中国東北に接し、豆満江材、会寧炭の対中国貿易が盛んであった。豆満江沿岸には貯木場製材所がある。また会寧炭は、第三紀始新世の会寧統から褐炭が産出されている。会寧焼の本場で、高麗(こうらい)時代以来の伝統ある製陶地であり、壺(つぼ)、鉢、椀(わん)類を生産している。

[魚 塘]

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